第8話『お久しぶり』@ 葛◆5fF4aBHyEs 様
「お久しぶりです!」 唐突に掛けられた声に振り向いたが、後ろに立っていたのは全く知らない男性だった ……ああ、自分が呼び止められたわけじゃなかったのか。勘違いして恥ずかしいな そう思って足早にその場を立ち去ろうとすると、 「ちょ、ちょっと!××さん!」 ……慌てた声で、呼ばれた名前は自分の名前だった えぇ?確かに自分は人の顔覚えるのは苦手だけど…… 訝しげな自分に、その男性も首を傾げ、 「もしかして、オレのこと忘れてます?○○って言うんですけど……」 聞き覚えの無い名前。顔を覚えるのは苦手でも、一度聞いた名前はそうそう忘れないハズなんだけどなあ 「えっ、えっ、だって3ヶ月前に会ったじゃないですか。仕事の席で……△△って場所で……オレは上司の□□さんと一緒で、そちらは◇◇さんと一緒だったでしょ」 ◇◇は確かに自分の上司だけど、そもそも一緒に仕事したことは無かったような……? でもやけにリアルな説明だった。時間は何時で、天気はこんな感じだったとまで言い募る様子は、嘘に見えない 記憶になくても容易に想像がつく説明に、次第に自分でも「そんなことがあったのかな」と言う気になってくる でも、どうしても思い出せない 「うーん……すみません……」 知ったかぶって話を合わせようかとも思ったが、結局頭を下げた自分に、男性はうなだれながら去っていった その男性と再会したのは3ヶ月後 仕事の件で、向こうは□□さんという上司と一緒で、自分は上司の◇◇と一緒で、△△という場所での話だった
