第56話『カルタ』@ 葛◆5fF4aBHyEs 様
祖母がまだ小さかった頃の話だ 遊び道具なんてまだほとんど無かった時代、祖母は友人のMちゃん、Yちゃんと一緒にいろはカルタを手作りしたらしい 三人で読み札と取り札を作り、さあ遊んでみよう、となったそうだ 最初の一回は祖母が読むことになり、MちゃんとYちゃんが札を取ることになった 「い ぬも歩けば棒に当たる」 「はいっ」 「そ ですり合うも他生の縁」 「はいっ」「あ、取られた!」「あはははっ」 他愛も無いやり取りをしながら、あっという間に読み札は全部読み終わってしまった……のだが、何故か一枚取り札が残っている 「あれ?これ何だっけ」 Mちゃんが取り札を手に取るのにつられて、祖母とYちゃんも覗き込む そこには○囲いされた ん の文字と、吊された骸骨の絵が描かれていた 首に縄をかけて吊された骸骨は、そう、まるで首吊りをしているようだった 「何これ、気持ち悪い」 「誰が描いたの?」 「私じゃないよ」「私でもない」「でも、私も描いてないよ、こんなの」 口々にそう言って否定し、三人で顔を見合わせる やがてMちゃんが肩を竦め、「まあいっか」と札を屑籠に入れる ……Mちゃんが亡くなったのは、それから3日後 物置小屋で遊んでいて、紐が絡まったまま天井の梁から落ちたそうだ その話を聞いた祖母は屑籠を覗いてみたが、あの取り札はどこにも見当たらなかったらしい
