第21話『願い事』@ 葛◆5fF4aBHyEs 様

「『書き込むと願い事が~』とか、『○○と書くと願いが~』とか、みんなよく書けるなあ」
「えっ、何で?」
「だって……なんか怖くない?」
「そう?私は書き込んだけど、ちゃんと叶ったよ」
「そうなの?」
「うん。『彼と付き合えますように』って毎日書いてたら、絶っっっ対無理だと思ってたのに、まさかの異動で一緒になって付き合い始めたもん」
「へぇ……」
「でもさ、ちゃんと付き合い始めたからスレに『ありがとうございました』って書き込んでスレを卒業したのに、次の日彼を怒らせちゃってさ」
「うん」
「これはきっと書き込みを止めたからだと思って、今度は『彼とうまくいきますように』って書き込んだの」
「そしたらどうなったの?」
「その日の夜に彼から電話があって、『ごめんね、仲直りしよう』って♪」
「良かったじゃん」
「うん。…でもさ、書き込みを止めたら、また彼を怒らせちゃうんじゃないかって怖くって。毎日書き込み続けたの。でも……」
「何かあったの?」
「そのうちに、書き込んでるのに仲が悪くなってきて、今度は書き込む回数を1日1回から、2回に増やしたの」
「うん」
「1日に2回が3回になって、4回になって。色々なスレに書き込むようになった」
「……そうなんだ」
「その時になってやっと解ったんだ。こういうスレは、願い事が叶っても書き続けなきゃいけないんだ、って」
「……でもさ、何だかんだ言って、今がうまくいってるならいいんじゃない?結婚して専業主婦になった訳だし」
「そうだね」
「おまじないなんて、頼らない方がいいんだよ、きっと」
「? 何の話?」
「えっ?『何の話?』って……」

「今も書き続けてるんだよ」


了