第44話『伝説スポット突撃談』@ たるたる◆t9nOsDb75I 様

うちの地元の山にはややオカルトめいた伝説がある
この山の頂上に池があるのだが、五百年前にこの地方を支配していた武将が敵に攻め込まれて逃げられず
馬とともにこの池に飛び込んで死んでしまったといわれる
以来、毎年大晦日の晩になると、この池に、馬の鞍だけがプカリと浮くという話だ
自分はこの話を確かめようと4?5年前の大晦日の晩にこの池に突撃した
大晦日の夜に山登り、どう考えてもバカである、山道はよく釣りにいくので懐中電灯だけで進める

頂上に到着、11時、寒い、雪まで降ってきた

さて懐中電灯の明かりで池の表面を照らす・・・草がはえてるのみ
11時に頂上について12時になった、さすがに飽きてきて、もう降りようかと思いはじめた頃に池の向こうから何かの音がした
ドンドンドンドンドンドン と響くような音、明かりを向けたが何も見えない
音は断続的に辺りに響き、そのたびに自分はだんだん恐ろしくなってきた
懐中電灯の電池を入れ替えて周りを照らしたら、池の上にポツンと赤い玉のような物が見えた
すわ、人魂か?
しかし、それは動きも揺めきもしない
ドンドンドンドンドンドンと音がまた響く

ここにいたって急に強い恐怖を感じた自分は、赤い玉から目をそらし、そそくさと下山した

後にあの山のことを親に聞いたら、あの山は昔は「歳徳神(としとくじん)」の出る山だと言われていた、という
歳徳神がなんだか親にきいてもわからなかったが、ただ大晦日に出現するという
あの赤い玉のような物がそうだったのか?

しかし自分はもう確認に行く気はしない
あれを見る事自体が非常に良くない事のような気がするから