第52話『墓場の霊』@ ずんちゃ虫◆OAARk8yC9E 様

小学校の頃、母の実家で葬式があって家族で出かけた
母実家につくと従兄ら(母の兄の息子ら)は自分らの爺さんが死んだのに妙なハイテンションで
仲がよかった自分も一緒にはしゃいでいたのだが、やがてその原因が判明した。
実は葬式を行う林幽寺という寺の墓地に、幽霊が出る噂があり、小学生だった従兄らはもちろん、
大人まで本気で噂していたのだった。
従兄らは好奇心から夜に寺へ行ってみたいと思ってたけど親が許さず、それがこんな形で
実現したので、いよいよ夜に寺に行けるぞ と喜んでいたのだ。

葬式の読経が終わると、従兄らと自分の3人は早々に寺の脇の墓地へ
噂によれば、幽霊は夕暮れ時に墓石の前に現れるらしい
手を前にだらりとたらした痩せ細った姿でゆらゆらと立っているのだが人が近付くと
消えてしまうらしい


3人は墓地を見回ったが、もう空がすっかり暗くなった8時ごろになって、ついにそれは現れた
暗い中に生白く浮かぶ細い影、墓地の一番奥の墓石の前でゆらゆらと揺れている
3人は緊張してこっそりと近づいた、相手は逃げない
15メートルほどの距離まで来てこれ以上進もうかどうしようかと迷い始める
もう少し行こう、と3人がうなずき合ったその時、影はすっと消えてしまった
3人は顔を見合わせ、いま見たものを確認し合って引き揚げようとした

すると、戻る方向の10メートルほど先の墓石にまたも細くやつれた白い影
手をだらりとたらし、うつむき加減で ゆらゆらとうごめく、背丈からして小柄な女性のよう
焦った3人は、どうしていいのかわからず慌てていると またすっと影は消えた
その後、3人とも半泣きになって本堂まで逃げ込んだ
実話で落ちも何もない、その時の2ヶ所の墓は、どちらも最近葬式のあった家の墓だそうです。