第39話『夏の夜』@ 吉行◆mHqJ7otKZM 様
夏の夜。暑くて寝苦しい。寝ようにも寝れない。 そんな状態で寝返りばかり打っていると、急に全身が動かせなくなった。 これは金縛りか。そう思いどうにか指先だけでも動かそうと躍起になっていると、背筋がぞくっとした。 汗ばんだ首筋に、生温い空気が緩くかかったのだ。 それはまるで人間の吐息を吹き掛けられたように感じられて不快で、自分以外の誰かが後ろにいるようで恐怖も感じた。 金縛りにあったのは体感でも時計でもほんの数分だった。 全身の強ばりがとれ、安心した俺は寝返りを打った。そして後悔した。 目の前に、男の顔が転がっていた。 俺は恐怖のあまり意識を失いそのまま朝を迎えた。