第28話『帰省』@ 南 ◆8pXPjdBnlY 様

GWだから実家に帰省していた。実家は昨年春休みに引っ越してきた所で、築2年くらいの一軒家。前の家に比べてちょっと小さいことを除けばそこそこ過ごしやすい家だと、引っ越し作業を手伝っている時は思っていた。

引っ越し作業以来、初めて足を踏み入れた実家。引っ越し直後は雑然としていたが、随分ときれいになったものだ。
私に宛がわれたのは1階の和室。TVもPS3も完備された快適空間。他の家族は2階で寝るから、真夜中までゲームをしていても気兼ねせずにすむ。良いことづくめだとほくほくしていた。

帰省初日。風呂上がりに廊下をぷらぷらしていると、和室から物音がした。ペットの犬が侵入しているのか思い、数ヵ月ぶりにもふってやろうと襖を開けたが犬はいなかった。
気のせいかと襖を閉め、リビングに向かい妹お手製チーズケーキを食べてまっったりと過ごした。両親と話をしていたら、いつの間にか深夜になっており、そろそろ寝るかということで解散。和室に行きゲームをするでもなく大人しく寝た。

2日目、家に私以外誰もいない状況ができた。ゲームをしたり読書をしたりで暇潰ししていたら、急に強烈な眠気に襲われた。
取り敢えず枕とタオルケットを出し、寝転がった。次の瞬間、金縛りに。
背筋が粟立つ感覚と、何かの視線を感じたがすぐに意識が遠退いて、起きたらもう夕方だった。

そして3日目。一日中家族と外に出ていて、ついさっき帰宅。そっと和室を覗くと、本棚の本の並びが少し変わっていた。気味悪く思い、泥棒に入られていたらいけないし家族に報告しとこうと和室に背を向けた。
すると背後からゴトゴトという物音とともに、誰かの話し声が聞こえた。
もう本気で怯えて親に相談したが、たぶん気のせいだろうと言われた。