第6話『炬燵の中』@ 雷鳥一号◆jgxp0RiZOM 様

友人の話。

ある冬の夕暮れだったという。
バイトを終え、一人暮らしのマンションに帰ってきた。
テレビのスイッチを入れてから炬燵に飛び付き、足を突っ込む。

足指の先が、ムニっと何か柔らかい物に触れた。
「アレ?」と思った次の瞬間、それは思い切り彼の足を蹴ってきた。
慌てて炬燵布団を跳ね上げ、中を覗き込む。

誰かの足が覗いていた。片足だけ。
臑毛が濃く生えたそれは、直ぐさま奥の方へ引っ込んだ。
混乱しながら炬燵本体に手を掛け、卓袱台返しの要領で一気にひっくり返す。

カーペットの上には、炬燵の備品以外何も確認できなかったという。