11 生き人形~日本テレビの怪異~

そしたら日本テレビがぜひって言うんですよ。弱い。ずーっと長いことレギュラーやっているところだし。NOとは言えなかったな。
ただ、どうしてもその時フジに行かなければいけない用事があって、時間がないって言ったら、
「頼む。稲川さん5分でいいから」ってお願いされて。
「じゃあ、わかった。5分じゃ話できないよ」って笑って言ってたんですがね。

で、結局日本テレビの隣に別棟があるんです。レンガ造りの。そこの2階か3階の和室に入って話をしたんですね。
「こういう部屋って、似てる部屋が3つ4つあると祟るよって」言ったんですよ。冗談で。

そしたら、ディレクターが「やめてくださいよ稲川さん。これ、同じ部屋が3つあるんですよ。」って言うんです。
「やあ、冗談、冗談」って笑ったんですよ。
わたしは、こう座ってる。カメラがこう映るわけだ。照明たいてるわけね。
それで、音の音声さんがいるわけだ。
ディレクター、うちのマネージャー、全部で6人いる。
8畳の部屋。でも、音がうるさいって言うんで、クーラー切っちゃったんだよ。
暑いはずですよ普通は。それが暑くない。そうこうして話しが盛り上がってる時に、俺冗談で言ったんだよね。
「来てるね」って言ったんですよ。本当冗談で、「来てるね」って。
「来てますか?」って言われて、どうせ編集出来るんだから、「来てるね」って。

ほいってみたら、本当にうちのマネージャーの影がうつってるんだ。その影がギューッと伸びたんですよ。
あれ?って思いながら、話しが一番盛り上がった瞬間に、ポーンって飛んだんだ。時計が。
腕時計が。ポーンと。
ところが、腕時計のその革の部分が、そこにピンが残ってないんですよ。
見たら時計のほうにピンがついてるんだ。
絶対切れるじゃない。バリっと。
ピンが時計のほうについているのに、革は切れてないんですよ。

音声さんが、機械を拝んでるんですよ。怖くて。
で、話しを一応し終わって帰ったんですよね。

次の週、韓国でわたしロケをやったんですよ。
その韓国ロケから帰ってきて、みんなに聞かれたんだ。「あれ、なんだったんですか?稲川さん」。って。
生番組の中で、稲川さんの怖い話って紹介したらしいんですよ。そのシーンを。
ところが、スタジオのインカム。つけているわけですよね?スタッフみんな。
そのインカムが飛んだって言うんだ。ポーンと。それで、聞こえないって。音が全然入らなくて。
そのシートにも時間があってしょうがないですからね。
それで、なんとか進めたんだ。生番組を。

ただ、わたしのその映像を流した時だけ、音は飛んでるんだけど、どっから聞こえたか知らないんだけど、
十一時何分をとれ、十一時何分をとれってずっと言っている声がする。
それがわからないから、「あれはどういう意味なんだ?」って言われて。
でも、俺もわからないんだ。全然そんなの。
あまりにそんなこんなで不思議な事がありますから、怖くなっちゃって。
これはやめようやって話になったんですよ。やめようと。
一切人形と縁を切ろうって話になったんですよ。

前の話へ

次の話へ