赤いおにぎり
これは私の親友なんですけどね、彼は今アクセサリーの世界で大変有名でしてね。 人気のあるデザイナーなんですけれども。歳は私よりも一つ上なんですけど。 学生時代は一緒にやってましたけどもね。 で、その彼が学生の頃にわたしに話してくれた話しがあるんですよ。 というもは、だいぶ昔の話しになるんですが彼のおじさん。 そのおじさんとはとても気があうそうなんですが。 そのおじさんが山が好きで、仲間を集めて山に行ったっていうんですね。 彼の実家は愛知県にあるんですが、簡単に登れるような山なんでしょうね。 それで、「行ってみようや!」って事で行ったらしいんですね。 山に入って冗談を言いながら、あーでもないこーでもないってやって登っていった。 そのうちに段々雲行きが怪しくなってきたんですね。 「あ、これ雨でも降ってくるんじゃねーか?参ったなあ..風邪でもひいたらたまんねーぞ」 いくら簡単に登れるっていっても山ですからね。 気候が変わればやはり危ないですよね。 「困ったな。この変に小屋ないかな?そこで時間潰そうや!」 って言っているうちに、雨がポタポタと落ちてきて、本格的な雨になった。 「あ~!本格的に降ってきちゃったな..弱ったな..急ごうや!」 木の間をぬうようにして、仲間と4人おじさんは走っていったんですね。 「お~い!あそこに小屋があるじゃねーか!あそこに行ってみようや!」 「おお、そうだな。そうしよう!」 それで、みんなでその小さな汚い小屋に入っていった。 「うああ...この小屋隙間だらけだな..」なんて話しをしてたんですが、 そのうち辺りはだんだんだんだん暗くなって闇になってきちゃった。 遠くでゴロゴロと落雷の音がする。稲光が光る。 「うああ..すごい事になっちゃったな。火でも炊こうか?」 でも、なかなか火はつかない。濡れちゃってますからね。 「寒いなあ..」 でも、こういう雨だからすぐ止むだろうし、しばらく待とうやって事になったんですね。 ところが、雨は強くなる一方で、小屋の周りでは風や雷の音がしてる。 風が強くなってきて今にも小屋は倒れそう。雨が小屋の戸を叩く。雷の光が戸の隙間から入ってくる。 板の隙間からも雷の光が入ってくる。その度にみんなの顔がチラチラと照らされる。 吹き込んでくる雨で体が濡れてくる。 「おい、しょうがねえから、ここで飯でも食わねえか?」 「うん。持ってきたおにぎりでも食うか。」 それで、みんなで手渡しして、真っ暗闇でおにぎりを食べはじめた。 と、おじさんの向かいで食べていた友人が、 「おい、なんだ!おまえのおにぎり赤飯か?」 「なにが?」 「いや、俺のと違ってお前のはいい色ついてるぞ?きったねーなあ。赤飯あるのか?おい。」 「いや、赤飯なんてねーよ。」 「でもこいつのだけ色ついてるぞ!」 「あー本当だ..」 なんて言いながら、みんなでおにぎりを食べてた。 ゴロゴロゴロロ...雷が鳴って稲光が差し込んでくる。 その光の中で、向かいに座ってる友達2人を見たら、唖然とした顔をしてる。 「なに?おい、どうした?」 瞬間の暗闇。 「なに?」 「お、お、お、お前のおにぎりな..」 「なんだよ?」 「上のなあ..上のなあ..」 ゴロゴロゴロロ..ピカッ っていうから、おじさんは上を見た。 何かがある。 次の瞬間稲光が光った瞬間に、目の前に足が見えて、 そこからポタポタポタポタ....赤いものが滴ってきてる。 それが、おじさんのおにぎりに当たって、おにぎりが赤く染まってる。 なんだこれ?と思って、黙ってみんなジーっとしてる。 次の瞬間に稲光が光った。その瞬間にみんな一斉に上を見上げた。 見上げた天井に老婆がぶら下がって、体から血が出て、それが足の先からポタポタ垂れてきてる。 「うああっぁあああああああああああああ!」 悲鳴をあげてみんな嵐の中飛び出しちゃった。 なんと老婆の首吊り死体があって、そこから垂れてくる血がおじさんのおにぎりを赤く染めてたんですね。 友達が言ったんですよね。 「稲川、これは実際に新聞に載ったんだよ。ふもとの婆さんだったらしいんだけどね。実際にあった話しだよ。」 私に話してくれました。 なんとも恐怖に満ちた話しですが、怪談とはちょっと違うかもしれない。 でも、周りにそういう話しってあったりするんですよね..





