本田ちゃんの家


わたしね、毎年怪談のツアーをしてるんですよね。
まあこのツアーはもう10年位になるんですが。
それで、この怪談のプロデュースをしてくれてるのが、友人でもあるんですが本田という人なんですけどね。

それで、このツアーでいつも使っている心霊写真があるんですよ。本当に物凄い写真です。
その写真を全部彼に預かってもらっているんですけどね。

その彼がね、
『いや、おかしい話しがある..』って言うんですよ。
はじめのうちは気にもならなかったんだけど、どうもおかしい。

まあどういう事かといいますと、彼の家がありますよね?
これは二階屋なんですけど。その何軒か挟んだ向こうに家が空いたんで、そこを借りてね。
そこの二階をわたしのツアー用の為の物置にしたわけですよね。

さあツアーがはじまるっていうので、彼が荷物を出すんです。
写真の整理をするわけなんですがね。
一人仕事をしていると、

突然ギッ..ギッ..ギッ..ギッ..
階段を上がってくる足音がするって言うんですよ。
階段が鳴っている訳ですから、誰かが来るわけですよね?

(あれ?かみさんかなあ?)と思ってしばらく待ってるんですけどね、
誰も来ない。それで、気になって見にいくと誰もいない訳なんですね。

それでそんな事が何度かあって、ある時またツアーの支度をはじめて、
(待てよ。また足音がしたら確かめてみようかな?)そう思ったっていうんですよね。

しばらくの間また写真を整理していると、
ギッ..ギッ..ギッ..ギッ..ギッ..ギッ..ギッ..ギッ..
誰かが階段を上がってくる。

(来た!来た来た来た来た..)って思ったんですね。
その時彼は、階段の上がってくる数を勘定したっていうんですよ。

(7段位だったなあ..)ってこう思った。
階段のほうを覗いて見ても誰も居ないわけですよね。
それで、下に降りて、階段を上がってみたっていうんですよね。

ギッ..ギッ..ギッ..ギッ..ギッ..ギッ..ギッ..
上がってみて、わたしわかりましたよって言うんですよね。

その位置に立ってみると、ちょうどその位置にわたしが置かせてもらっている心霊写真。
それが目の位置で見えるっていうんですよね。

どうやらその幽霊なり人物は、階段を上がってきて写真を見ているんじゃないですかね?
って言ったんですよね。

「ああ、なるほどね..」
って言ってましたら、最近になって、また不思議な事があるって言うんですよ。

それは、一回荷物を下ろしますよね?
車に積むんで整理しますよね?
今度は上から下りて来る足音がするっていうんですよ。

下向いて荷物をおろしてますよね?
そうすると、上から
ギッ..ギッ..ギッ..ギッ..ギッ..ギッ..ギッ..ギッ..
階段を下りてくる足音がする。

だって、ついさっきまで自分は二階に一人でいたわけですからね?
誰もいるわけがないんで、(うああ..)って思って見上げると誰もいない。

誰もいないんですが、次の瞬間、何かが頭の横を過ぎって行ったって言うんですよね。

誰かいますよね?ってわたしに言うんですよ。
誰かいますよね..きっと..。

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