ギンガムチェックの女の子


幼い頃の出来事を、ふとした瞬間に思い出すことってありますよね。これはそんな話なんですよね。

ちょっと不思議な話なんですが、この話を聞いて、あなたが判断してみてください。

話というのは30代の女性なんですが、この人の思い出の話なんですよね。

彼女が小学校に上る前なんですが、お父さんの仕事の都合で一時期、
一家で仙台に暮らしていたことがあるんですよね。

そんなときなんですが、お母さんが時々坂部さんっていうお宅に、彼女を連れて遊びに行っていたんですよ。
その家には、みかちゃんという、彼女と同い年位の女の子が居てね。

それともう一人、みかちゃんよりも小さな、多分みかちゃんの妹だと思う女の子がいたんです。
その子はいつも、ピンク色の、スカートの裾がふわっと広がったギンガムチェックのワンピースを着ていて、
まるでお人形さんのように可愛かった。

それで、みかちゃんと、自分と、その女の子と、三人でいつも仲良く遊んだって言うんですよね。
ただみかちゃんの名前は覚えている。でも下の妹の名前は思い出せない。

それでお母さんに聞いてみるとね、お母さんが
「えぇ?坂部さんのおうちにはさ、みかちゃんの上にお兄ちゃんが1人居るきりよ。妹はいないわよ」って言ったんで、
「いやそんなことはないよ。私一緒に遊んでいたもん」と言うと、

「あなたが言っているのはそれお人形さんじゃない?確かあのお家に、そういうお人形があるのを見たことあるわよ」
ってお母さんが言った。

そんなはずはないんだ、自分はその女の子とよくおしゃべりもしたし、遊んだという記憶がはっきり残っている。
でもその女の子、いつも同じピンク色のギンガムチェックの服を着ていたって言うんですよね。
ちょっと不思議ですよね。

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