自殺の部屋で - 大島てる

このお話は、九州の北部に建っている10階建てのマンションでの出来事です。

このマンションの302号室で焼身自殺がありました。
近所の人は、ただ火事があった位にしか思っていないかもしれませんが、
よくよく調べてみると、自殺だったわけです。

その自殺した人が住んでいた302号室は、空室になってしまったわけで、
事故物件として売りに出ました。

誰が買ったかといいますと、真上の402号室の住人です。
その人から見れば、自分の部屋を一軒家の二階のように使い、真下を一軒家の一階のようにして使えば、広く使えるだろうと考えたのだと思います。

本来は勝手にやってはいけないのですが、その人は302号室と402号室を繋ぐ階段を勝手に作り、文字通り一軒家のように使ったわけです。

しかし、しばらくしてその人自身が自殺してしまいました。
どこで自殺したかというと、下の部屋と上の部屋を繋ぐ階段部分。
そこで首吊り自殺をしました。

階段は部屋の真ん中にあるかというと、そうではなく、
どちらかというと下の階の部屋に存在するわけですから、
今回の自殺も302号室で起こったといえます。

私が事故物件の公示サイトを12年間運営している中で、
マンションの同じ部屋で二度も自殺があったというケースは、
この北九州のケースしか知りません。

そのマンション、そのマンションが地区は、決して物騒な、人がしょっちゅう死んでいるといった地区ではありません。
そのマンションでだけ、その部屋でだけ、二人も自殺。
理由はわかりませんが、気持ちが悪いとしかいいようがありません。

その部屋は、また新所有者が自殺してしまったわけですから、
再度売りにでました。

今度は302号室と402号室がセットで売りにでて、格安で取引が成立しました。
どの方が何の為に買ったかはわかりませんが、その後は今のところ何も起きていないようです。

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