夜中のドライブ - 的場浩司
これは僕が二十歳くらいの時の話なんですけども、その時にダムの水が干上がってダムの底が見えるといったニュースがやっていたんです。 それでダムの底なんて見たことないですから、友達とダムって中はどうなっているんだろうなぁという話になって、若かったですし、ドライブがてら皆で見に行くことになったんです。 それでダムの方に向かって車を走らせて、車は峠道の方に入っていったんです。 峠道を走っていたら、コーナーのところに白い服を着た女性が立っていたんです。 時間は夜中の12時くらいです。 そんな時間に女の人が立っているなんて明らかにおかしいじゃないですか。 それで通り過ぎた時に車の中で「今女の人が立っていたよね」って話になって、 「もしかしたらナンパか何かで悪い人に連れてこられてこんなところで降ろされちゃったのかな」 「それだとちょっとかわいそうだよな」 「Uターンして戻って、下まで送ってあげようか」という話になったんです。 それでUターンして戻ってその辺りに車を停めて、車の中から女性を探したら、いないんですね。 「もしかして俺たちを見て怖いなと思って隠れちゃったのかな」 そう思ったんで僕たちは車から降りて 「大丈夫ですよ、僕達怪しい者じゃないですし、何かあったのなら下まで車で送っていきますよ」 と皆で声をかけたんです。 それでも女性は出てこないんで、その人が立っていたあたりまで行ってみたんです。 そしたらそこに花束がブワッと置いてあって、これは見てはいけないものを見てしまったかもしれないと思って皆で急いで車に戻ったんです。 「もうさ、今のは忘れてここから早く離れてダムに向かおう」 そうしてまた皆で車を走らせていったんです。 それでしばらく行ってみたら土砂崩れで道が通行止めなんですよ。 右に曲がれるところがあったんでナビなんて無い時代でしたから、とにかく右に曲がったんです。 それでずっと走っていったらまた土砂崩れなんです。 そしてまた右側に曲がれる道があって、そこが林道というか、狭い道なんですよ。 でもそっちにしか行けないですから、またその林道に入っていったんです。 そしたらそこは舗装もされていないし、街灯も全く無いんですけど、それでも進んでいったんです。 そうしたら更にドンドンと道が狭くなって、右側が崖になったんです。 でもUターンするところもないし、とにかく真っ直ぐ行ったんです。 そしたらまた土砂崩れで行き止まりなんです。 右は崖だし、Uターンは出来ない。 それで左側を見たら、あたり一面お墓なんですよ。 山の上の方までとにかく一面お墓なんです。 これはやばいぞと。 僕は後ろに座っていたんで運転していた奴に「お前とにかくバックしろ」と。 そしたら運転していた奴がビビっちゃってて。 「後ろなんか見えないよ。 後ろなんか見たら絶対見ちゃいけないやつを見ちゃうよ」 「でもここに居るわけにはいかないだろ」 それでも嫌だと言うんで俺が運転を変わって車の中で移動して、僕が運転席に座ったんです。 崖から落ちないように外を見ながら車で下がり始めたら、突然そっちのお墓の方から ヒャァアアアアァアアハハハハハハハハア と、女の声が聴こえてきたんです。 その声を聴いた瞬間にブレーキをギュッと踏んだんです。 するとまた辺りは静寂なんです。 それでもうそんなのおかしいから崖から落ちるとかそんなの考えずにアクセルベタ踏みで必死に戻りました。 その笑い声というのは未だに頭に残っています。






