長い長いトンネル(みみかさんの恐怖体験)

このお話は、投稿された体験談を、稲川さんが話したものです。

確かあの時は雨が降っていたんです。 今から十年位前の事なんですが、四人の友達とドライブに行ったんです。 時間はもう夜中の二時位でしたかね。 走っている車は他にはなくて、自分達の車だけ。 しばらくドライブを楽しんで、車が暗いトンネルの中に入ったんです。 その時なんだか嫌だなあ…と秘かに思ったんですがね…そんな事を言うと皆に臆病だって言われるんで黙ってたんです。 トンネルは雨のせいか濡れてましてね、車が走って行くと水しぶきがあがるんですよね。 と、友達の一人が「ねえ、なんだかこのトンネル長くない?」って言ったんですね。 その時、私も気が付きました。このトンネル確かに異常に長いんですよ。 なんだか訳もなく、背中がひんやりと感じましたよね。 十分近くは走っているのに、まだ一向にトンネルの先が見えてこない。 なんだか私が眠くなってきて私が目を閉じた時です… 「ひぁあああああああああああああ」友達が悲鳴を上げたんです。 私が目を開けて、友達に「どうしたの???」と聞くと、 血の気の引いた真っ青な顔で「人を轢いちゃった…」って言うんです。 車を運転していた彼女の話しを聞くと、車を走らせていると突然前方から女の人が走ってきて、 慌ててブレーキをかけたんだけれども、その時にはもう女は居なかった… その話しを聞いた一人の友達が、「ちょっと…人を轢いたのならまずいよ…とにかく車を降りよう!」と言ったんですが、 私はなぜかその時に、(絶対にこの車から降りちゃいけない!この車から降りたら、何か悪い事が起きる。)そう思ったんです。 「絶対にダメ!降りちゃだめ!車なんて轢いてないから!早く車を進めて!!!」 私が強く言うと、運転していた彼女が、慌てて車を走らせたんですね。 そして、しばらくすると出口が見えてきました。 私は後ろを振り返りましたよ。そして、ギョッとしました。 このトンネルは、入口から出口が見えるんですよ。 つまり、そこまで距離のない短いトンネルだったんですね… だけど、私達が走っている時には、入口と出口が見えない距離だったんですよ。 このトンネルは、何かを現すそんなトンネルだったのかもしれないですね… それにもしもあの時車を降りていたら、どんな事になっていたんだろう…と想像すると、今でも何だか恐ろしくてたまりません。

前の話へ

次の話へ