夜中に目をさますな!
私がお邪魔したロケ先での話なんですがね、 そこに来た中年の方が、「稲川さん、面白い話があるよ」って言うんですよ。 彼は高校時代野球部だったそうですよ。 その野球部っていうのは毎年夏に合宿があるそうで、その合宿は代々代々使われている古い建物でするそうなんです。 その合宿では必ず「夜中になったら目を覚ますなよ」って話になるそうなんですよ。 それは夜中になって動くような運動をしちゃだめだよ。 夜中になったら寝てしまう位に体を使い込めよ。 それで夜中に起きちゃいけないよって話なんだと思っていたそうなんですがね。 ところが合宿中のある日、夜中にね、 「おい、おいちょっと。おい。お前ちょっと起きてくんない?」 って友達に起こされちゃったそうですよ。 「なんだよお前夜中に起きちゃいけないんだぞ」って言ったら、 隣の野球部の仲間が彼をつつきながら真剣な目をしながらじっと向こうを見ているそうなんです。 合宿中なんで広い会館のようなところで寝ているそうなんですが、 その端の方にたくさんユニフォームが干しているんですよ。 それでその友人が指を指しながら、 「あれだけどさ・・・、あれ気になんない?」って言うそうなんですよ。 「どれ?」 「ほら、入り口のところにあるユニフォーム。」 自分たちのユニフォームはみんな決まっていますよね。 みんな同じユニフォーム。形も色もそう。 ところが形も色も違うユニフォームが1つだけ入っているそうなんですよ。 それで、それだけが何だか動いているって言うんですよ。 ユラユラユラユラ。 「なんだあれ?うちのチームのユニフォームじゃねぇぞ。」 「なんなんだろう?あれ動いてんだろ?」 それで「ちょっとよく見な、おかしいんだぜ」って友人が言うんです。 それでよく見たら動いているんですが、風に吹かれているわけじゃない。 他のユニフォームはちゃんと下がって動いていない。 「風かな....?」って言ったら 「袖見てみな..」って友人が言う。 見てみると、ユニフォームの下からシャツがだらーんと出ているんですよ。 えっ?って思ってよく見ると、シャツの下から手が出ている 。 嘘だろ・・・って思って、またよく見てみると、ユニフォームの頭のところから、 頭がついて、ジーっとこちらを見ているんですって。 なんてことはないんですよね。 洗濯物を干している紐がありますよね。 そのところに首吊りした男が居て、プラプラプラプラ揺れていたっていうんですよね。 彼はそのまんま気が遠くなっちゃった。 次の日その場所を見ましたけども、もちろんそんなものありませんよ。 あーそうか、いつも野球部で言われている、夜中に目を覚ますなよ 合宿に行ったら絶対に起きちゃいけないよって言うのは、あれを見ちゃうからなんだなぁ ってその時分かったんだよね、って言ってましたよ。





