招かれざる客


番組のロケでもって、大阪で有名な大学にお邪魔したんですね。
そうしたら学生さん達が集まってきちゃいましてね。

で、あんまり学生さんがついて歩くものだから、
「いいよー行っても!」って事で、学生さんが集まる学食で話して盛り上がってたんですよ。
わたしの話しを学生さんがよく知ってるんですよね。
それで、私も嬉しいものだから、色々と話してたんですよ。

そうしましたら、その学生さんも
「稲川さん、わたしも体験してる。」って言うんですよ。
それで私も、「聞きたいなあ。教えてくれる?」って言ったら、
「ええ。ただおかしいのが、自分の友達がまずその話しをしてくれて、
お前もでもこの話しを聞いたら同じような目にあうよ?」って言ったんですって。

これおかしいじゃないですか?そういう事って。
で、「どうしたの?」って聞いたんです。

それは何て事ない日なそうですよ。
いつものような一日が終わって、いつものように夕飯を食べて、いつものように布団に入った。
自分の部屋は二階だっていうんですね。
玄関から階段を上がったすぐの所が自分の部屋なそうですよ。

どれで横になったんだけど、あんまり眠くなかった。
だんだんだんだん時間は経っていく。
(ああもう寝なくちゃいけないなあ..)って思ってた。

そしたら、エンジン音がしたって言うんですね。
ブウゥゥゥ..
そして、止まる音がした。

(あれ?親父かな?)って思ったけど、親父にしたら遅すぎる。
(なんだろう?)エンジン音もどうも違う。

バタン..ドアの閉まる音がした。
(あ!誰か降りた!こんな時間に客が来るのかなあ?)って思ってたっていうんですね。
そしたら、外の砂利道を歩く音がして、ガチャガチャって音がした。

(あれ?うちの玄関だやっぱり。)

ギィ..バタン..ドアが閉まった。

(あれ?誰だろう?)

で、そのうちにトントントンと廊下を渡る音がして、ドンドンドンドンドンドンドン
階段を誰かが上がってくる。
すごい勢いで。

自分の部屋しか無い。

(おぉどうしよう)

と思うけど体が動かない。

(あぁやばい。これは普通じゃないぞ)

と思った。

ドンドンドンドンドン

(おぁ、駄目だ!)

ドンドンドンドンドン

自分の部屋の前で音が止まった。

(おいなんなんだよ・・・)

後はシーンとしている。

でも確かに車が停まる音、ドアが開く音、階段を上がってくる音は聴こえているわけだ。

何が起きたんだろうと思った。

一体何なんだろうと思って、体は動きませんから、目だけでぐるーんと辺りを見回した。
自分の頭の隅のところに何かがある。
サワサワサワサワ揺れている。

何が揺れているんだろうなぁと思ったら、何かが見えた。

上の方から何かがざわぁっと下がっている。
なんだこれ?と思った。
髪の毛らしい。
嘘だろ・・・と思って思い切って見てみたら、真っ青の顔の女が自分を見ている。

(うああぁああ)と思った

恐怖なんだけど目が開いたまま体が動かない。

どうしようもないからそのまんま。

一生懸命目を背けよう背けようとそのまま顔をくっと下に下ろした。
と部屋の壁が見えた。

自分の足元が見えるくらいになって、ぼやっとした輪郭が見える。

なんなんだろうあの輪郭はと思いつつ、一生懸命見ようとしていると、だんだんとピントが合ってきた。

それは小さな二人の子供でもって、やっぱり真っ青な子供で、こっちをジーっと睨んでいたと言うんです。

そのまま気が遠くなっていったと言うんですよ。

一体あれは何なんだったんだ?

翌日になって目が開いてから、いくら考えても夢だと思えない。
それで友達に電話してみた。

自分「おいお前、おい俺お前に言われたよな?
それでお前、絶対見るって言ったよな?」


友人「見たのか?」

自分「うん。あれ夢か?」

友人「んーん。夢じゃないよ」

自分「お前の見たのと同じか?」

友人「うん」

それで二人で、あれは何だったんだろうなって話した。

自分「それでお前、何故それを知ってたの?」

友人「俺も他の友だちに言われたんだよ」

稲川さん、あれなんでしょうね?って言ってましたね。
でも私にも分からないですけどね。

三人が三人とも夢じゃないって言うんですよね。
私はその話を聞いちゃったわけですから見る可能性はあるんですけど、
残念ながら、私は二階に住んでいないんですね。
これが救いかな・・・。

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