姉の死
これは私の身内の話しなんですよ。 というのも、昨年の12月28日に私の姉が癌でなくなりましてね。 その前の年、私の怪談ミステリーナイトへ姉は来てくれたんですよね。 会場と近いところに姉の家があったんで、私だとか弟夫婦だとか従兄弟夫婦なんかが集まってね。 姉のところには子供がいないんですよ。夫婦とっても仲がいいんですが。 普段姉の所へは全然行く機会がないんですが、集まってみるといいもんだなあと思ってね。 長い事こういう時間ってなかったなあ、これからはこういう時間が作れるんだなと思って、みんなとても良い時間を過ごした。 それから一週間後でしたね。 姉の旦那さん、義理の兄貴から電話がありましてね、姉が癌だというんですよ。 でも、私は助かると思って信じていた。 病院もいくつか付き合ったりしたんですがね。 それで、12月。私が福井県のほうでロケをしていたら、そこへ電話が入りましたね。 「もう今年いっぱいらしい。よくて新年の2日か3日だろう」って言うんですよ。 これはショックだった。仕事は笑いながらしてましたが、心はドキドキドキドキしていましたよ。 それでも私は希望を捨てなかった。そんなわけない。大丈夫だろうと思ってた。 まあ、そんな時に弟から私に電話がきたんですよ。 それで、「どうしようか?」って言うんですよ。 それはどういう事かっていうと、母親が入院してましてね、もう大変な高齢なんですが足の骨を折っちゃった。 で、その母親を姉に会わせたほうがいいだろうかっていう話しなんです。 そうなると大変なんですよね。病院から姉の家までは遠いですからね。 それにその頃は姉も病院のほうに居ましたから、その事を考えてもそう行けないですし。 で、このままだと、私の姉と母は会わないまま別れてしまうわけだ。 会わしてあげたいんですが、高齢の身で自分よりも先に娘が逝くってのは決して嬉しい事じゃないですよね。 もしかしたら、ショックで母親のほうも逝ってしまうかもしれないし… 出来れば知らせないで、もしも姉が亡くなったらその段階でと私言ったんですよ。 そうしたら、弟のほうも、そうだなって事になった。 ところが28日、私のクラブチッタでのオールナイトの日なんですよね、姉が亡くなりまして、 私はそれまで病院に付き合いましたよ。 そういう事になったんで、どうしようかって話しになった。 ところが年末年始というのは斎場が混むんですよね。 一番早くと頼んでも1月6日なんですよ。葬儀が。 それで少し時間が出来たから、その間に母に言おうという事になりましてね。 と、弟からまた電話がきたんですよ。 それはどういう事かというとね、やっぱり母親の事気になりますよね。姉が亡くなっちゃったんですから。 で、弟は姉の事は言わないで、母のところへ顔を出したわけだ。様子を見にいったんだ。 実際は姉はもう死んでるんですよ。でもそれは母親には言えない。 うちの姉はチヅコというんですが、小さな頃からみんなが「ちいちゃん、ちいちゃん」って言ってた。 「」と、弟の顔を見た母親が、「ちいちゃん死んだね」って言った。 弟としちゃ驚きますよ。誰もそんな事言っちゃいないんだから。 もちろん私は母親のところへ行ってないですし、弟が行くまで誰も行ってないんですから。 と、母親がね、これは夢はうつつかわからないんですけど、個室に入ってるんですけど、 姉が3日前にやって来たっていうんですよ。 姉はあまり話しもせず、寂しそうにしてた。で、二言三言話すとやがて帰っていった。 帰りがけ、病室の入り口に立って、母をジーっと見てた。 母親は、具合でも悪いのかな?と思った。 というのも、姉はそういう状況で母親の所へ見舞いにこれないんで、 私も弟も母親には、「今体の具合が悪くて、よくなったら来るからね」って嘘をついてたんですよ。 だから母親は具合が悪いんだなって思ってた。 そして次の日また姉が見舞いに来たっていうんですよ。 元気がない。二言三言話しはするんですがね、帰りがけ、病室の入り口に立って、母をジーっと見てる。 何か声をかけてあげようと思うんだけど、何となくそういう雰囲気じゃない。 そうして姉は帰っていった。 そして三日目、また姉が来た。なんだかとっても寂しそうにしてる。 二言三言話しをするんですが、やっぱり元気がない。 そして帰りがけ、病室の入り口に立って、母をジーっと見てた。 母親もなんだか可哀想になって何か言おうかな?と思ったらば、 姉が、「お母さん、私ね、死んじゃったのよ」って言ったっていうんですね。 うちの姉にはそんな霊能力はありませんよ。 母親にもそんなものはない。 でも、どこの世界に自分の娘が死んだなんて言える母親がいますか? よしんば聞かされても信じないのが母親ですよ。 母親と子供っていうのは、目には見えなくても、何か強いもので結ばれているんだなってそんな感じがしましたね。





