非常階段の生首
普段歩き慣れた道なのに、「こんなビルあったかな?」「こんな路地あったけな?」と思う事ってありませんかね? ありますよね?見慣れているはずの場所なのに、こんな景色が存在したのかな?って思う事。 私は大阪で番組をやっているんですが、その局を仮にA局としておきましょうか。 その局で、私の番組を担当している若手スタッフ二人が体験したんです。 番組自体は朝なんですが、片付けやら資料まとめだとか、色々してたら夕方になっちゃった。 もう眠いし、疲れてる。 ひと通り仕事も終わったんで、「じゃあ帰ろうか」と若手スタッフは局を出て歩き始めた。 この二人は、どちらも局からすぐそばのマンションに一人暮らしをしてるんですね。 それで、局があって、局の裏には大きな公園があるんですよ。 その公園を突っ切ると十文字に道があって、その道を渡るとコンビニがあるんです。 二人でお喋りしながら歩いて、コンビニの前を通って歩いていく。 そうしてしばらく歩いていると、片方が立ち止まっちゃった。 「ん?どうした?」 「俺、今嫌なもの見ちゃった…」 「何?何みたんだ?」 「いやなコンビニの裏に路地があってさ…」 「え?路地なんて裏にあったっけ?」 「うん…あるよ。路地があったんだよ。それで路地の突き当りがビルの壁なんだ。 それでそこに非常階段があるんだけど、それが変な形で、バッテンにクロスしてるんだ。 そのクロスした所に男の生首があってな、そいつがこっちをジーッと見てて、 俺と目があっちゃったんだよ。」 「そんな…そんな事って…」 「いや、本当なんだ。俺、どうしよう…」 人間っておかしなもんなんですよね。 そういう時って、なんとか錯覚だと思いたいんだ。だから確かめてしまうんだ。 確かめて、それが錯覚であればいいんですよね。でもちょっと怖い。 でもやっぱり二人で確かめようと、来た道を二人で戻っていった。 そうすると、確かに路地があった。コンビニの後ろに路地があるんだ。 こんな所に路地なんてあったのかな?と思った。 その路地をひょいっと覗くと、確かにビルの壁がある。 非常階段が交差している。変な形でバッテンになってるんですよね。 「な?本当にあったろ?あの非常階段がクロスするちょうどあのあたりに、 男の生首があってさ、こっちをジーッと見ていたんだよ。」 「そんなもんないじゃないか」 「うん。今はない。でも確かにあったんだ。」 そこにはもう男の生首なんてなかった。 ただ、非常階段が変な形でクロスしているだけ。 変な建物だなあと思って通り過ぎた。 生首を見た彼は、気持ちが穏やかじゃないですからね、 「嫌なものをみた…」としきりに呟いて帰っていった。 それから何日か経ったんですよね。 一緒に居たもう一人の青年なんですが、なんだか嫌なんだな。そこを通るのが怖い。 でも、さらに何日かすると恐怖が薄れてくるんだな。 その日もその帰り道を通って、何の気なしにひょいっと見てみた。 コンビニの裏に路地がある。そしてその奥にビルがある。 こんな所にビルなんてあったかな?と思いながら、そのビルを見ていると、おかしい。 この前に、自分が友人とビルを見た時には、非常階段がバッテンになってたんだ。 今見ると、どう見ても、どんな角度で見ても、非常階段は一つしかないんですよね。 もう一つの非常階段なんて、どこにもないんだ。 「稲川さん…やっぱり俺も変なもの見ちゃったのかな…?」 彼そう言ってましたよね。





