ネコ屋敷

175 :アマガエル :2006/08/12(土) 01:52:30 ID:t8XqDnsGO
10年くらい前、私が害虫駆除の営業をしていた頃の怖い体験です。 
その日に伺う予定だったお宅は以前にウチでシロアリ消毒をしているお客さまでした。 
私は訪問する前に前回の調査表を確認すると、備考欄に「ネコ屋敷注意!」と書いてありました。 
色んなお客がいるので、私は「ああ、そういうタイプのお客さんか…」と思った程度であまり気にしていませんでした。 

約束の時間になり、私はお客さまのお宅に伺いました。 
外から見る限りでは、築10年も経っていない、その辺りでは割と大きな2階建て物件です。 
ただ手入れしている様子はなく、庭は荒れ放題でした。 
インターホンを押すとすぐに家主が現れました。ひと目でお気の毒とわかる感じの猫ババアでした。 
(現在の訪問販売法には明らかに抵触するであろう、正しい自己判断を行うことが難しい方でした>猫ババア) 

玄関を開けた瞬間から既に動物を飼っている家の特有の臭いがしました。 
家の中は雑然としていて、床は足が張り付くほどにベタベタしていました。さらに強烈な臭いのため鼻で呼吸はできず、目が痛いくらいです。 
部屋のあちらこちらにネコがいます。通された部屋に5-6匹、途中にも2-3匹いたのに加え、 
気配や鳴き声を入れると裕に倍以上はいる感じです。 
猫ババアがお茶を入れてくれましたが、飲む気にはなれませんでした。 

私は長居は無用とさっそく仕事に掛かりました。作業衣に着替え床下に潜ります。 
…ネコは死ぬとき姿を隠すって言いますよね?どこに消えると思います?床下にいました、 
防毒マスクのおかげで臭いこそわかりませんが、たぶん想像を絶する臭いだったはずです。 
だってそこには、ミイラ化・白骨化したものから、まだ新しい死骸・腐り掛けのものまで、確認できるものだけでも14匹のネコ達がいたのですから… 
私はすぐにでも逃げ出したい気持ちでしたが、床下の状況を猫ババアに説明し 
「このままでは不衛生だから、もう一度しっかり消毒をした方がよい」旨を伝えました。 

すると意外にも猫ババアは「ネコ達が可哀相、すぐに消毒してあげて」と再契約の運びになったのです。 
そこで受注のため会社に連絡すると「死骸の始末はお前がしてこい、でないと工事は請けられない」と言われました。 
私が床下のネコの数を正確に数えることができたのは、一匹ずつ死骸を集めて回ったからです。 
以上、茨城県H市の「ネコ屋敷」でした。 

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