赤い服の女の子

 
1271 名前:名無しさん 投稿日: 2011/06/09(木) 06:53:32 ID:Zvh0yJIU0
俺は怖くないけど周りが怖がった話。
今は東京に住んでるが、二年前地元ののN県T町に住んでたときのこと。
当時俺は釣りにハマッてて、
家のすぐ近くの小学校の裏手にある野池にブラックバスを釣りに行くのが、
休日の過ごし方だった。
その日は珍しく他の釣り人はいなくて、俺は気兼ねなく何度か場所を変えながら釣りをしていた。
家が近いから、池の土手でうちのばーちゃん(80)が山菜だったか花だったかを摘んでいた。

しばらく釣ってると、ばーちゃんが話しかけてきた。
「さっきの赤い服の女の子知り合いかい?」
「え? そんな子いた?」
「いたにぃ? 走り回ったり笑ったりして遊んでた」
「いや、いなかっただろ。俺けっこう周り見るし、釣り場を走り回られたら怒るよ」
俺は少し気味が悪くなったから、道具をまとめて家に帰った。
ばーちゃんも家に帰ってきて、さっきの話になった。
俺たちの見たものは完全に食い違っていて、ばーちゃんは頑固に女の子はいたと言い張った。
俺はもう面倒になったから、
「精霊か妖怪かなんかじゃないの?」
と言ったけど、ばーちゃんはそんなものがあるわけはない、釣りに夢中で気づかなかったんだと言い続けていた。

俺は、それは断じてありえないと言うしかない。
釣りをするのに、周りの環境に鈍感でいられるわけがない。
周囲の音や自分の立ち位置、周りの木の生え方にまで気を遣るのに、
子どもが走り回って気づかないはずはない。
ばーちゃんは古い考え方を持つ人だが、目に見えないものを全く信じない。
逆に、俺はべつにそういう存在がいてもいいと思うから、とくに怖くない。

それより小学校時分から毎日決まった時間に実家にかかってくる無言電話のほうが、
よほど不気味だと思えるが、みなさんはどうだろう?
家族は無言電話の主を「むごんちゃん」と呼んでいる。

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