空耳

727 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :2001/08/04(土) 01:27
霊体験らしきものは、私が高校時代に頻繁に起こりました。
私は、学校まで自転車通いだったのですが、入学祝いに
新品の自転車を買ってもらい、機嫌よく7キロほどの道を往復する毎日でした。
学校にもなれた頃・・・私は、盛んに「空耳」を聞くようになりました。
授業中、通学中…誰かと話をしていると、割り込むようにささやく声が
するのです。それも決まって、左耳で聞くのです。

それでも、鳥肌を立てるくらいで、実害はないものだと気にせず暮らしていた
ある日。下校途中に、友人と大声でしゃべりつつ自転車をこぐ私の耳元で
「よっこいしょっと」と、しゃがれた声が聞こえました。
もちろん、左耳で・・・。
驚いて自転車を止め、あたりを見回しますが、あたりは一面の畑。
声の主は見当たらず、傍にいるのは怪訝に私を見る友人のみ・・・。
ちょっとゾクッとしましたが、構わずそのままペダルを踏みしめたその時
ガクン、と言う感じがして、自転車の前輪が少し浮き上がりました。
え?と思った瞬間、ペダルがいつもとは全くちがう重さになりました。
必死でこいでも、すごい重さで平地を並んで走らせている友人の自転車に
度々引き離されるのです。
どうかしたの?と尋ねてくれる友人に、本当のことは話せず
ただ、疲れてるのかな・・と誤魔化しながらようやく自宅にたどり着きました。

いつもなら在宅している母も、用事で外出しており間が悪いなあ、と思いながら
自分の部屋に入りました。
レンタルしていたCDを返しに行こうと、ベッドの脇を通った瞬間
背中をドシンとおされるように、ベッドに倒されました。
それから、どうにも体が動かず、頭はガンガンと痛むのです。
背には何かが覆いかぶさっているような重み・・・。

内心パニック状態で、そのまま20分ほども過ぎた頃。
隣の家のおばさんが、うちを訪ねて玄関のベルをならしたのと同時に
私は開放されました。
ほっとして、腕時計を見た時、さーっと血の気が引きました。
綺麗だった腕時計の、ガラスには無数の小さな傷が付き
一瞬曇りガラスかとも思えるような、変わり果てた姿になっていました・・・。 

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