風呂洗いのバイト

931 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・[] 投稿日:03/03/08(土) 00:46
僕は銭湯で風呂洗いのバイトをしているのだが、
これが結構きつい仕事で、まるで一昔前のジャンプのように人の入れ替わりが激しいのだ。
ある日、またしても見慣れない顔の人がいた。
「ああ、また誰かがやめて別のヤツがはいってきたのだろう」と思い別段気にもとめず作業を始めた。
作業を始め、一時間位たっただろうか、僕は洗面台(っていうのだろうか?とにかく頭、体等を洗う場所)
を姿勢を低くして磨いていた。
ふと、洗面台にとりつけられている鏡が目に付いた。誰かの足が早足に自分の後ろを通り過ぎたように見えた。
普段の仕事内容では、僕はいつも一人で浴場に手配され、
大体午前10時半を過ぎたあたりから、別の作業を終えた人がアシストに来るのだが、
まだそのときは9時40~50分位、アシストが来るには早すぎる。
「なんだろう?」と思いつつも、時間がもったいないため作業を続けた。
それから大体5分位たったろうか?
再びすたすたと誰かが早足に通り過ぎるのが、今度は鏡にはっきり見えた。
アシストが来る時間帯でない。他の作業をしている奴がこのエリアに足を踏み入れるはずがない。
「おい、サボりか?こちとら必死こいて働いているというのに。」
と思い後ろを振り向くが、
誰もいない。
多少の気持ちの悪さを覚え再び作業に戻った。
そして、予想通り約5分の感覚を置いて、再び誰かの足が鏡に映った。
さすがに3度目ということもあり、僕もそれなりにむかついていたため、立ち上がり注意を促すことに・・・
したのだが、浴場内はしん・・と静まり返り僕以外の人は誰もいない。サウナの中にも。
「出て行ったのか?」とも思ったが、鏡に映った誰かの足の進行方向は
一つしかない出入り口からはほぼ反対方向だったのだ。こんなに早く出て行けるわけがない。
さすがに気味が悪くなり、僕は一旦浴場から出た。
かといって、時間が無限にあるわけではない、仕事はまだまだ残っている。
多少気を落ち着け、仕方がないのでもう一度戻ることに。
そして、洗面台磨きの残りを終わらせたまさにその時、またしても鏡に足が映ったのだ。
今度はゆっくりと。

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