古びた仏壇

505 :本当にあった怖い名無し:2007/03/17(土) 10:48:02 ID:fvWUJ54n0

去年の盆に、田舎に帰省したときの話。
私の田舎は田圃が広がる見渡す限りの田園地帯。
父と母と祖母が暮らしています。特に娯楽も無いので2日ほど滞在して帰るつもりでした。
何事も無く一日目が過ぎ、帰る日。
早朝。祖母が、私に掃除を手伝えといいました。帰りの電車は午後だったので私は快く手伝うことにしました。
普段使っていない物置と化した離れ部屋を掃除していたとき。
ダンボールに埋もれるようにして古びた仏壇がありました。
「仏さまをこんなところに閉じ込めちゃいかん」
と祖母は慌てたようにその仏壇を引っ張り出すよう私にいいました。
それは吃驚するぐらい軽く、私と祖母はすぐにその仏壇を外に出せました。
「なんで仏壇を荷物と一緒にしてたの。罰当たりでしょ」
「・・・知んねえ。おれこんな仏壇みたことねえ」
「じゃあ、ご先祖様の仏壇じゃない?どっちにしろ、供養してもらおうよ」
私の地元は結構信心深かったので、ご先祖様を大事にしないと祟られる、といった感覚が根付いていました。
「そうだな」
私と祖母とで再びその仏壇を持ち上げたとき。
かた・・・と扉が開きました。一瞬ぎくっ、としたのですが中からは位牌だとか、そういうものは出てきませんでした。
たださらさらさら・・・と砂のような真っ白いものが流れてくるだけ。
元来ビビリの私はちょっとほ、として仏壇を最寄の神社にもっていきました。
神主に事情を話し、供養をしてもらうことになりました。
後日、供養の終わった仏壇は返してくれる、とのことです。
私は帰省から戻り、しばらくしたある日、祖母から電話がかかってきました。
「なあ、あんた実家に忘れ物してたん」

「え、そんなはずは・・・」
「なんや細かい模様のワンピース」
祖母の話では、供養がすみ、帰ってきた仏壇の奥から張り付くようにして古びたワンピースがあった・・・というのです。
田舎にそんなものを持っていった記憶はないのできっぱりと否定すると、
「そうかあ・・・。そうかあ」
と祖母は納得したようでした。祖母との会話はそれで終わり、切った直後。
また電話が鳴りました。それは供養をお願いした神社のひとでした。
その内容は、確かに仏壇の供養はしたのだが、遺骨が見つからなかった。
位牌もなく、遺骨もないのにその仏壇にはあり得ないぐらいの霊の気配があった。
ひょっとして、家の中にそういったものがあるのではないか。
祖母に話を聞いたのだがいまいち要領を得ない。
私は仏壇が出てきた部屋を見るかぎりそんなものはなかった・・・と言おうと思いました。
しかし、そのとき足元をさらさらさら・・・と流れていった白い砂を思い出しました。
なんだか悪寒に襲われた私は、そのことを伝えました。すると
「なら、ええんや」
そういうなり、がちゃり、と電話は切れてしまいました。

そして、今年の正月。わたしはまた田舎に帰りました。
その折、神主や祖母に仏壇のことを聞こうと思いました。
しかし、祖母の言うことはなんだか要領を得ません。盆の時はあんなにしゃきしゃきしてたのに。
神主はというと、急に重い病気を患って入院。面会謝絶。
だから詳しいことは分かりません。

長文なうえに消化不良ですいません。
ただ、あの時足元を流れていったあの白い砂は、人の骨が風化したものだったのではないか・・・と思うとなんだかぞっとしない日々を送る私です。

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