彼氏の家

248 :1/4:2006/10/05(木) 10:59:58 ID:33TwQxcp0

少し長いですけれど。

今から5年くらい前の話です。
当時付き合っていた彼氏の家に初めて遊びに行った時のこと。
玄関を開けて「どうぞ入って~」と言われた時、アレ?と思いました。
小さい子の特有の…なんというか…髪の毛の臭い、乳臭いような甘酸っぱいような体温の高そうな臭い…おわかりでしょうか?そういう臭いがしたからです。
彼には小さい弟や妹はいませんでしたし、独り暮らしで実家からも遠く離れていました。
そして小さい子が家に遊びに来るということもありませんでした。
「気のせいか…」と思い、部屋に入ってギョッとしました。
ベッドルームの隅に、5才くらいの女の子が体操座りしているのです。
純和風の顔立ち、白い肌、水色っぽい色のワンピース、肩より長い黒髪で前髪は眉の辺りで揃えてあって…例えが適当でないかもしれませんがちょうど今の愛子様みたいな清楚な感じの子でした。
うわ…どうしよう…と思ったものの、彼自身全然平気(気付いてない)みたいだし、前々から自分の部屋にとても愛着があるらしきことを言っていたので、初めてお邪魔していきなり何か言うのもどうかと思い、黙っておくことにしました。

訪れたのは夕方近い時間だったので、適当に荷物を置いたらゴハン食べに行こうということになり出かけました。
『帰ったらあの子、消えてたらいいなぁ…』なんて思いながら。
食事を終えて家に帰ると女の子はいなくなっていました。
『やっぱさっきのは見間違いだったのかも。あまりにもリアルだったけど…』

その後お風呂を頂いたわけですが。
体を洗っている時、背後に何か気配がしたので振り向きました。
お風呂場の扉はよくある磨りガラスっぽいアクリル製だったのですが、そこにさっきの子が映っていました。
磨りガラス越しなのでぼやけてはいましたが、両手の平を扉に付けて、お風呂場を覗くようにドアに接近している女の子が。
かなりビックリしてしばらく放心。
けど相手が幽霊らしいとはいえ子供だからか驚きすぎてなのか、取り乱すこともなく観察することに。
女の子の影は何か(私?)を探すようにしばらく磨りガラスの向こうでゆっくり上下左右にウネウネと動いていましたが、そのうち扉から遠のき、脱衣所をウロウロした後、出て行ったようでした。

その後寝るまでの間、あの子は現れませんでした。
初めに見たとき寝室の隅にいたので、その部屋で休むのは正直気が進みませんでした。
その割に、その晩は熟睡したのですけれど。

朝。特に部屋に異変はないように見えました。
しかし。洗面所で顔を洗っていた時、鏡の向こうにあの子はいました。
洗面所の中途半端に開いたドアに隠れた格好で、こちらの様子を窺っている…という感じで。
『やっぱりいたんだ…』と思いつつ、なんとなく「お名前は?何してるの?」と尋ねてみました。するとサッとドアに隠れます。
放っておいて歯磨きなどしていると、またコソ~っと覗いてる。
「あら?」と声をかけると、またサッと隠れる…。
普通の好奇心旺盛で恥ずかしがり屋な幼児と同じような反応。
…ただ、表情が暗い(無表情っぽい)のと、生き物の気配というか存在感(?)がないのと、もっとこちらをよく見るためか何だかわかりませんが、ドアの端に添えた手で這うように、グネグネと体を動かしながら上に登り(←宙に浮いてる)私の背の高さより上に行ったり下がったりする様が、いかにもというか異常な感じでした。

その後何度か彼の家に泊まりがけで遊びに行きましたが、彼女は毎回、私が洗面所、あるいはお風呂場にいる時に、鏡越しに、あるいは磨りガラス越しに存在をアピールしてきました。
特に衝撃を受けた忘れられないアピールは、床からいきなり首だけ生えた状態で現れるというもので、あれだけは本当に心臓に悪かったです。

私と彼の付き合いは長く続かず3ヶ月くらいで別れてしまいましたが、最後に彼の部屋に私物を取りに行った時、あの女の子にもさよならを言いました。
わかってるのかわかってないのかわかりませんでしたが、洗面所の鏡の向こうで両手足をクネクネさせながら、踊るようにドアの向こうに消えて(隠れて)いきました。

適切な例えでないと言いつつ再び書いてしまいますが、テレビで愛子様を拝見する度に、「あの子元気かな…」と思い出します。

長文駄文、失礼しました。

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