誰も信じてくれない

129 :1/2:2006/08/29(火) 15:02:49 ID:sEAl0QV70

どっかで読んだ話。
うろ覚えだが怖かったので投下する。
長文なんで嫌いな奴はスルーしてくれ。

アメリカではUFOの目撃例が多く宇宙人に遭遇したと言い出す人間も後を絶たない。
そんな事件に触発されてか、ある女の子(9歳)が
宇宙人に会ったと家族に訴えた。
話を聞くと、家族が寝静まった頃、
宇宙人は彼女の部屋へやってくると言うのだ。毎晩のように。
もちろん家族は彼女の話を真剣に受け止めなかった。
家には何者かが侵入したような跡も無い。
多感な年頃、テレビなどに影響されたのだろう。
夢でも見たのだと言い聞かせ放っておいた。
しかし、しばらくして彼女は宇宙人に異物を埋められたと
泣き喚き自ら性器を傷つけた。
思い込みが酷くなり自傷に至ってしまったと判断した家族は流石に心配し
病院へ連れて行き医師と話し合った結果、彼女を短期入院させることにした。
それでも彼女の話によると病室まで毎晩宇宙人は来るらしい。
周囲が困り果てた、そんな折にこの事件に転機が訪れる。

誰も信じてくれない、
このままでは宇宙人にいつか殺されてしまうかもしれない。
彼女は段々と危機感を感じてきていた。
最初は怖くてたまらなかったが、
追い詰められ始めた状況を悟り彼女は行動に出たのだ。
こっそりナースセンターへ忍んで、
ペン立てからカッターナイフを盗む。
それを枕の下へ隠して夜を待った。
深夜、看護婦の巡回を避けていつも宇宙人はやってくる。
今夜もそれは現れた。
鈍い銀色を放つ不自然なサイズの頭部、無情な瞳、
人間の大人と同じくらいの大きな身体。
いつものように宇宙人は怯える彼女がいるベットへ近付いて。
と、そこで彼女は意を決してカッターを取り出し
宇宙人の首元を勢いよく切りつけた。
予期しなかった反撃に宇宙人は短く呻いて切られた首を手で押さえながら
ふらふらと病室を出て行った。
それを見届けて彼女はナースコールで看護婦を呼んだ。
「また宇宙人が現れたの!カッターで切ったら逃げたわ!お願い、すぐ来て!」

医師から話を聞いていた夜勤の看護婦は半信半疑で彼女のもとへ駆けつけた。
泣き叫ぶ彼女を落ち着かせようと病室の電気をつけると
ベッドには血が飛び散っている。
よく見れば点々と床から廊下へ続く血痕。
慌てて看護婦は警察を呼んだ。
不審者が出たとの通報を受け、病院の周囲を見回っていた警察は
人気の無い暗がりに停めてある車を見つける。
その中でぐったりとしている男性。
ドアを開ければ男性はすでに絶命しており、傍らには血のついた
宇宙人のマスクが転がっていた。
この男性は彼女の父親だった。
彼は毎晩宇宙人のマスクを被り娘に性的虐待を行っていたのだ。
家族は真実を知り、彼女の将来への影響を考えて
父親を病死ということにしてひっそりと葬式を挙げた。
彼女は真実を知らぬまま、今も元気に暮らしている。

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