いわく物件

192 :いわく物件:2006/08/31(木) 23:37:42 ID:R23zbrcz0

会社のT先輩から聞いたいわく物件の話です。

T先輩は10年前ほどの学生時代、本当に見るからに貧乏で汚い学生だったそうです。
んで、丸の内線沿いの駅のそばに何かものすごく安い物件を見つけて
大喜びで住んだそうです。彼は学校がない日はアルバイトの鬼と化してたので
朝早く出て行って夜、寝れればよいので、幽霊とか泥棒とか入っても気がつかないんじゃないかと。。

で、そこに住み始めてだんだん人づきあいが悪くなり 気のせいかT先輩は痩せていったんですね。
「お前、学校来てる?最近ぜ-んぜん見かけないし。コンパも付き合い悪いし
そういや顔色悪いな。危ないものに手を出してるとか(笑)」
「いや、悪い悪いバイトが殆ど入っちゃってさ。顔色悪いのは睡眠不足さっ!!」

バイトが終わって帰る深夜0時。風呂に入り寝るという繰り返しの中で どうもそのころから
変な夢を見るのです。
それは、フローリングの床から妙な臭いとともに
グニャリグニャリした白のような黄色のような黒い塊が動いてるというのです。
当然、体は身動きが取れず硬直した体で闇の中で かすかに開いた目で動きを見つめると
何やら、それは塊りではなく細かい何かがびっしり集団で動いてるようだと、、、

そこで夢は途切れ金縛りから開放され時計を見ると決まって午前3~4時の間

それからT先輩の体から異臭がするようになったのです。(本人曰く)
洗っても洗っても臭い。臭いが取れない。服を洗剤まみれにして洗ってみたり
強力濃縮液体タイプを使ったりしたが駄目みたいでした。
ところが、他人には臭わないので不思議でした。
そして殆ど、毎晩のようにうなされる日々でついには朝、まともに起きられなくなり
友人からも遠のき・・・ バイトも突然クビになり学校も休みがちになり…
(何か変だ・・俺は狂った)と思い込むまでになりました。

そして、グニャリグニャリして蠢(うごめ)く塊り。うすうすあの物体が何であるかわかってきました。
そのころの彼はもはや、「魂の抜け殻のような薄気味の悪い男」と変貌し、仲間も
完全に遠ざかっていました。

(何がいけないんだろう?完全に俺が狂ってる。お前ら笑ってるだろ。俺が臭いからか?)
そんなT先輩でしたが、学校から留年を言い渡されのと、突然の彼の父親の死で
突然、学校を断念して郷里に帰る羽目となりそのアパートと決別することになりました。

出て行くとき、大家さんに思い切って聞いてみた。
「もう、郷里に帰ることになったので何も驚かないのでひとつ聞いていいですか?
あの部屋って、、、何かありませんでしたか?」

すると人のよさそうな大家さんが突然、ハッとした表情でぇ険しい顔になり
暫く無言のあと
「どなたかに聞いたんですか?もう昔のことですし。それ以上は言えません」とだけ答えた。

いてもたっても居られなくなったT先輩は片付いて荷物だけになった自分の部屋へもう一度
入り押入れを覗くと、奥に今まで気にはしなかったが大きな黄ばんだ白い紙を
剥がした。するとどうだろう?
見たこともない赤い張り紙がびっしり貼ってあったと。(短冊状の)見たこともないような
意味不明な漢字の文字がびっしり書いてあったと言う。


例の夢に出てくる…グニャリグニャリして蠢(うごめ)く塊り…

お分かりだと思いますがあれは間違いなく「蛆虫」だと思います。

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