鳥居の前に男の人

110 :109:2006/06/29(木) 11:26:53 ID:ufr9iqET0
これまた高校時代の話。
中学時代に仲の良かった友人宅に久しぶりに遊びに行った帰り道のこと。
友人の家は中学校と小学校、神社が並んだ一角を迂回するようにして反対側にあったので
帰り道はそれらが並ぶ長い坂道を一度下って回り込み、又登って帰らなければならなかった。
人通りも少なく、時々車が通るだけの道だったが、
その一角はいつもお化けが出るだの変なものを見ただのと怖い噂が耐えないところだったので
なんとなくショボ~ンとした気持でチャリをこいでいた。
学校を過ぎ、神社の前はちょうど山の頂上にあたる。信号つきのT字路のその先はまっすぐ下り坂、
右手は長い参道の坂になっている。私は信号を右に下って行くのだが、いつの間にか鳥居の前に男の人が立っていた。
白いトレーナーにジーンズ、片手にピンクのビニール傘を持ち、もう一方の手は後ろに回している兄ちゃんだった。
晴れた日に傘を持ち、うつむいて立っていた兄ちゃんは信号が青になっても渡ろうとしない。
段々近づいて行く私はすごく落ち着かず、そのまま点滅が始まった横断歩道を斜めに行こうかなと思っていた。
なんとなく距離を保ちつつ彼に一番近づいた瞬間、それまで後ろに回していた手をバッと前に突き出してきた。
…何か握っている。
びびりながら見えたそれは半紙を4分割した位のおふだだった。
墨と朱墨で何か複雑な絵や文字が書かれている。
sqwgtrふぇうkじょpk!!! 何がなんだか理解できずも目は釘付けで斜め横断をし、
急いでそのまま下り坂をすっ飛ばして帰宅。途中一度振り向いたときには彼の姿は無く
ただ、信号が点滅して道路を照らしていた。
なんだったのか理解はできないものの、不思議なことにその日以来ぱったりと怖いものを見なくなったので
あの日のあの兄ちゃんは神社の神様だと思うことにしている。

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