赤い風船

490 名前:本当にあった怖い名無し :2005/11/29(火) 19:06:29 ID:OZidC6Ma0

昔、下宿していたアパートでは奇妙なことが何度か起きた。
これはそのうちのひとつ。

ある寒い冬の朝方、徹夜のバイトで疲れ果てて帰ってきた俺は
とりあえず戸締まりだけ厳重にして、布団に直行した。
それから死んだように熟睡して、目覚めたらもう夕方。
冬至近いちょうど今頃の季節だったから、夕方とはいえ辺りは薄暗かった。
ああもうこんな時間か、飯でも食いに行くか…と体を起こしかけた時
視界のスミに真っ赤なものが映った。
えっ?と思って窓側を見ると、そこに赤い風船が浮いてた。

ああ、何や風船か、そう思ってからぎょっとした。
何でこんなところに風船なんかあるんや?
それも、ちょうどガスが半分抜けて浮力を失ったような感じの
中途半端な高さでふらふら浮いてる。

こんな風船、昨日帰って来た時には無かった筈やし、
窓やドアを確認するも、どこもびっちり締切ってあるし(なにしろ寒いから)
直に部屋へ放り込む新聞受みたいな物もない六畳一間の部屋だった。

気味悪くなって窓を開けてその風船を出したら、
ふらふらと風に乗って飛んでいってしまった。
その時は深く考えなかったが、あの風船は何だったのか…

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