赤ちゃんの人形

841 名前:本当にあった怖い名無し :2005/05/22(日) 21:46:19 ID:fpBOvUHg0

小学5年せいの時の話 
私の叔母は20代半ばでしたが 赤ちゃんの人形を大事にしていた。 
いつも抱いて一緒に連れていた。
その叔母が入院をしたが私はその事は知らなかった。 
が、自分が全治1ヶ月の怪我をし入院することになりその病院に叔母がいる事を知ったという訳。 
人形の話に戻ります。
その人形はよくある体を横にして寝かすと目を閉じる人形。 
ただ叔母のものは本物の赤ん坊くらいの大きさがあって、より人間の子に近づけるため重りまで入れてあるのでずっしりと重たかった。
断っておくが叔母は精神に異常があるわけではないです。 

なんだか重さが普通の人形より重いというだけではない気味の悪さがあって叔母は人形の顔が変わってきたし、瞬きもするのよなんていうものだから親戚中不気味がっていた。 
実際顔に関しては当時小学生の私が見てもお店に並んでいる他のものとは違うように感じた。 
ツルッとしたいかにも型にはめてつくった顔という感じではなく瞼のしたがぷっくりして頬のしたにちゃんと筋肉があるような、うまく説明できないけどとにかくリアルでした。 

叔母と同室だと何かと安心だろうということで相部屋に。 
当然ベットにはその人形もいました。
叔母もまだ子供の私が入院してきたので何かと気を使ってくれて、人形も抱っこさせてくれました。
本当は少し怖かったけど 
好意でかしてくれている叔母にそんな事も言えず抱いて遊んでいました。 
そこに祖母がお見舞にきて、私に祖母のお人形を持ってきてくれるというんです。 
その人形もまた横にすると目を閉じるタイプで、名前はヒトシ。
もともとは金髪の髪を黒髪にするために人毛のカツラを縫い付けてありました。
ヒトシという名は生後間もなく亡くなってしまった祖母の次男、つまりは私の叔父さんの名前だということでした 

祖母はヒトシ君に重りを仕込んでいるわけもなく抱いた感じも顔も違和感なく、ただ祖母はお守りを中に入れてるよって言ってました。 
入院中は寂しかったのでヒトシくんが遊び相手。
髪をとかしたり、抱っこしたり、叔母の人形が不気味だったので夜はヒトシ君を抱いて眠りました。 

1ヵ月後、退院。人形は祖母に返そうと思っていましたが、私が可愛がっていることを知っていた祖母は返すのはいつでもいいよと言ってくれました。
そのうち飽きるだろうと思ったのでしょう。
まぁ実際、家に帰ると兄弟もいるしヒトシ君と遊ぶ時間はだんだん減ってきていました。 

ある時 父が私にスキ-を買ってくれると約束してくれました。(ここまで書くこともないのだけど) 
うれしかったんですよ。
人からもらったボロボロのスキ-を使っていたから。 
でも次の日父が買ってきたのはウエア-。
弟にはスキ-。
捜してはくれたみたいだけど良いものがなかったと言われて悔しくて泣きました。 
そしてヒトシくんを連れて部屋に閉じこもった。
ヒトシくんは母の鏡台にちょこんと座らせて私は布団を被って泣きました。
私が泣いている理由を家族は知っているので誰もその部屋には来ない。
そっとしておいてくれたんです。 
私も泣いてスッキリしたものの、今度は部屋をでるタイミングがないなぁ~とか考えながら布団から顔を出して鏡台のヒトシくんを見上げたんです。 
小さい子が足のつかないベンチにでも座っている感じを想像してください。 
その状態のヒトシくんが足をバタつかせていたんです。
寝ぼけていたわけでもないし、見たときはギョッとしました。
慌てて家族のところへ行き見たことを話しましたがきっと部屋を出るために言い訳でも考えてきたとくらいにしか思ってなかったと思います。 

それでヒトシくんは祖母に返しました。
その後ヒトシくんがどうなったかはわかりません。
しばらくは祖母のところにありましたけど、もう祖母も亡くなっているので聞くことは出来ないけどお寺さんで供養してもらったのかなぁと思っています。 

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