矢の行方

798 :本当にあった怖い名無し:2007/01/28(日) 17:58:05 ID:9NsByYAY0

あんまり詳しく書くと地域が特定されるので 
端折って書く。 

私の生まれ故郷は中国山地の近くの山村で、じいちゃん 
もばあちゃんもその村で生まれて知り合ったらしい。 
んで、ばあちゃんの家系は神主で神社を持っている。 
毎年、秋には昔からの言い伝えにならって、ある祭りを行う。 
去年の秋もその祭りをやった。 
その内容は、武者姿をした若者が神社の境内から鬼門の方向にある 
木のてっぺんに向かって弓を射る、と言った内容で、去年は 
その弓矢を射る役目は俺がやった。ちなみに鏃は鏑で 
「ギューーーン」って音が出るだけ。その矢を拾った人は 
一年を無病息災で過ごせるって話がある 

それで、去年の祭りのとき。 
鎧着て、烏帽子を被り、境内の真ん中で鬼門に向かって弓を射た。 
「ギューーン」って感じの音がして鬼門の方向にある巨木の上を超え 
境内の外にまで飛んでいった。 
みんなが矢を拾おうと走って行くも、戻ってきた人の中にも拾った人 
はいない。中には巨木の上を超えた辺りで消えてなくなった、って 
言う人も出てきた。 
なんともよくわからなかったけど、着替えのため社務所に行くと 
その神社の神主さんをしている叔父さんが出てきて言った。 
「木の上を矢が通ったとき、見えない何かに当たってドガって 
音を立てて消えたんだ。きっと良くないものがいたんだろうな。」 
って。 
後々、聞いた話。その神主をしている婆ちゃんの家系は昔の中国地方の 
大名の毛利の家系で、神社の神様は八幡様だって事だった。 

後日談 
とりあえず、祭りは無事に終わって夜の打ち上げのとき。 
総代さんってわかるかな?神社の世話を手伝ってくれる人 
なんだけど、その人に「来年も弓取りよろしく」って言われた。 
ちなみに、俺は霊感とかってものは殆ど無いけど、地元の祭り 
で神楽やったり笛を吹いたりしてるから神様に好かれてるのかもな 
って年寄り連中には言われる。 
なんか、ありがたい話だった。 

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