池のほとり

285 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/11/28 19:55

寄り合いの場で聞いた話。 
冬の夕刻、一人の女性が暗くなりかけた山道を下っていた。 
池のほとりに差し掛かった時、向かい側に子供の姿が見えた。 
暗い木立の中で、やや俯き加減に佇んでいる。 
こんな時間に?と、いぶかしんで見やるうちに、ふと目が合った。 
次の瞬間、子供がこちらに向かって近づいてきた。 
水面をスーッと滑るように池を渡ってくる。 
愕然と立ち竦む女性の方を悲しげに見つめながら目の前を横切り、 
道端の木の中に吸い込まれるようにして、フッと姿を消した。 
木の根元には、しなびた花束とラジコンカーが置かれていた。

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