修行場

468: 本当にあった怖い名無し 2005/06/27(月) 15:26:46 ID:eitU8j710

心霊関係ないけど、個人的には怖かった話。
数年前の夏、実家に帰省中に兄に誘われて山に登った。 
そう高い山でもないし、小中学校の遠足で散々登った地元の山だ。 
兄も私も登山は素人。Tシャツとジャージに弁当程度の軽装で挑んだ。 
山頂の神社でお参りしてから山を下る。行きとは違うルートだ。 
だが道は二つあった。どちらも同じような規模の道。 
兄が私に「どちらかを選べ」と言うので、適当に選んだ道を下りる。 
その道は、途中で道と呼べるものではなくなった。 
何故か瓦礫のような石の散乱する斜面を、滑りながらも必死で下りる。 
まさかこんな所で遭難なんてしないよな、と思い始めた頃、ようやく道らしきものに出会った。 
安堵に胸をなでおろしつつ進む。と、川の下流の藪の中に、場違いな鳥居を見つけた。 
下は白かっただろう塗装の剥げた、朽ちかけた小さい木の鳥居。何でこんなものが。 
道はどんどん歩きやすくなっていく。明らかに整備されている。 
道の傍に立て看板があった。曰く、「行者以外の当山道の使用を禁ずる」 
…行者ってナニ!? 

やばい雰囲気を感じつつもとりあえず下る。壮年の男性とすれ違う。物凄い目で睨まれた。 
川沿いになおも下る。川の中に忽然と不動明王像が立っている。何でだ。 
更に下る。もう一体の仏像をスルーしつつどんどん進む。 
山道の出口だ。喜びに足どりも軽く道を抜ける。 
そこにあったのは小さな駐車場と、人気のない殺風景な二階建ての建物。 
たてもの脇に座っていたおじいさんに睨まれて、そそくさと敷地から出る。 
振り返って見上げた建物の看板には、

「○○教××支部 修行場」

とりあえず走って逃げた。もう二度とあの道は行かない。

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