山の神の日に

476: 本当にあった怖い名無し 2005/06/27(月) 17:20:19 ID:OU/P86Xeo

天祖山の辺りも苔鮮やかな岩の重なる場所などある。 
今の勤め先のビルに常駐している警備の隊長さんが山歩きが好きで、 
あちこちに遠征している人なんだけど、酉谷かどこかの避難小屋に 
一人で泊まったとき、綺麗なんだけど何か嫌な感じがしたと言っていた。 

あの付近は武田の敗走者が討たれたりした場所で、色々不気味な四方山話しが残っている。
暮れの山の神の日に、山に行ったきり帰って来ない親父がいた。 
息子が心配して探したけども、何も見付からない。

大分経った頃、息子より若い甥が、その山でおっかない物を見た。 
丁度雨の降りそうな日で、ヌタになってる場所を通り掛ったら、 
呷めきながらヌタの中を、うつ伏せになって這う物がいる。 
大蛇のような姿の物で、上半身は人の形をしていたが、 
下半身が長い木の根のようになっていたそうだ。 
恐ろしくて逃げ帰り、以降その山に仕事に入らなくなった。 

晩年、この甥が亡くなる前に家族に打ち明けた話では、 
あの禿げ頭は山の神に隠された親父だろうと話したそうだ。

この辺りでは山の神の日に山に入ると、木と一緒に数え込まれるという。

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