エンコウ

403 : 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ [sage] 投稿日:2011/04/30(土) 19:51:32.72 ID:/mYGPkSR0 [3/3回(PC)]
昔馴染みの話。
ある朝、里山を歩いていると、ひどい悪臭に襲われた。 
生臭い匂いが、眼下の川原から立ち上ってくる。 
何か死んでいるのかと下りてみたところ、砂地の上に点々とした窪みが続いていた。

パッと見、人が歩いた跡のように見えた。 
青藻のような物が所々にこびり付いているようで、それがとてつもなく臭い。 
窪みは川が淵になった場所で途切れていた。

散歩していた近所の小父さんが、彼と同じように川原へ下りてきた。 
「おや、久しぶりにエンコウが出たのか」 
小父さんによると、これはエンコウと呼ばれる生き物の足跡だという。 
いわゆる河童みたいなモノなのだと。

「あいつら日の高い内は出てこないから。 
 だからしばらくの間、暗くなってからは、この辺をうろつかない方がいいぞ」 
それだけ言うと、小父さんは散歩に戻っていった。

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