赤子の声
466 : 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ [sage] 投稿日:2011/05/02(月) 19:31:18.86 ID:e0/8ql8f0 [1/4回(PC)]
友人の話。
単独登山を楽しんでいた夏の夜。
晩飯を食べ終え、焚き火の明かりで本を読んでいると、周囲の繁みがガサガサと
揺れ始めた。何かが彼の周りをゆっくりと回っているようだ。
燃え差しを手にし身構えていると、いきなり闇の中に大声が響き渡る。
火が点いたように泣いている赤子の声だった。
慌てて動きのあった繁みに踏み込んでみたが、何も動く姿は見つからない。
正体の見えない泣き声を追い回して二、三分も経ったろうか。
始まった時と同様、声は唐突にプツリと消えた。
その後はもう山を下りるまで、泣き声が聞こえることはなかったという。