ある私鉄沿線電車

286 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/06/22 22:28 ID:aBZz4kwk
新宿を基点にしてる、ある私鉄沿線電車。 
初夏の真昼間、新宿に向かう列車に乗ってたときの事。 
私は、サラリーマン風のおじさんと並んで、腰掛けてた。 
その時間の割には、車内ちょっと込んでて、目の前には、 
買い物帰り風のおばさんが、つり革につかまって立ってた。 
冷房にはちょっと早くて、私の後ろの窓、少しだけ開いてるみたいで 
風がゴーゴー、髪が乱れるくらい、吹き込んでた。 
その電車、新宿直前から地下を走るようになってる。 
地下に入ってしばらく走った頃。 
目の前のおばさんが、突然、手を伸ばして、窓を閉めようとしてる。 
見上げると、様子が変だ。鬼の形相。必死すぎて手元もおぼつかない。 
ただならぬ勢いで窓を閉め終えたおばさんを、私も隣のおじさんも 
ポカンと見上げる形になってしまった。なんだか、あぶない人? 
視線に気付いたおばさんは、 
「見えなかったの?気付かなかったの?あなた、髪…」 
といったまま、口ごもり、早足で別の車両に移っていってしまった。 
両腕をさすり「あ~コワイ、コワイ」とつぶやきながら。 
何かが、入ってこようと、してたんだ。 

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