叩き起こされた

206 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :04/03/18 14:26
2年前の9月、敬老の日の直後だから16~17日頃だった。

当時ある雑誌の編集やってた俺は、その日、ある取材のアポが入っていた。
ちょっとした事情で締切ギリギリのスケジュールになり、
その日のうちに取材→原稿書き→先方確認→版下まで進めておき、
翌日午前中に編集長に提出する必要があった。
取材先は千葉の外れ。家から直行しても6時台の電車に乗らなければ間に合わない。

その日はちょうど家族が出払っていて、家には俺一人だった。
前夜、2時近くまで取材の下調べをした後、目覚ましをかけて熟睡していた俺は、
いきなり親父の声で叩き起こされた。
「何をぐずぐずしている!」
半分寝ぼけながら時計を見ると、まだ早朝4時半過ぎ。
いくら何でも早すぎる・・・そうは思ったが、ここで二度寝したら確実に寝過ごす。
仕方なく起き出すことにした。
二階の自室から一階に下りると、俺はまず仏壇に線香を供えた。

そう、親父は1年半前に死んでいた。
家に誰もいなかったので、わざわざ起こしに来てくれたらしい。
心配かけてごめんな、親父。でも、ちょっと気が早すぎるよ。

取材の方はお陰でうまくいった。
雑誌はその年の暮れに潰れたが、朝が苦手だった俺は、
あれから少しは早起きできるようになった。

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