屏風
516 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ sage New! 2012/06/18(月) 19:43:59.19 ID:IfW5EEax0
知り合いの話。
地元の山に仕事で入っていた時のこと。
手が空いた折、普段は足を踏み入れない方面へと分け入ってみた。
広く綺麗な淵を見つけ、休憩しようと寄ってみる。
澄んだ水を口にして一息ついていると、妙な物が目に入った。
淵の奥の方、蒼い水面に、古いが上品な屏風が一枚だけ立っていたのだ。
「一体何だありゃ?」とまじまじ見ていると、水音がして気配が湧いた。
・・・多分、何かが淵から出てきた・・・そして今、それは屏風の向こう側にいる。
急に恐ろしくなり、全速力でそこから走って逃げたのだという。
「ありゃ正体はよくわからんが、間違いなくヤバいもんだと感じた。
俺ぁもう絶対にあそこへ行く気はないね」
彼はそう言って口を固く結んだ。