アダルトコーナー

227 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :03/02/21 11:02
深夜11時過ぎ。駅前のレンタルビデオ店内。 
洋画、邦画の棚をさっと流す。カモフラージュのためだ。 
バイト娘の一瞬の隙を衝き、防災上ありえないだろうってくらいに複雑な経路を通って、 
目的のアダルトコーナーに突入する。 
そこは別世界。男の世界。全身の毛穴からカウパーフェロモン出しまくってる野郎の群れ。 
むさ苦しすぎて屁が出そうになる。早速、探索モードに移行。サーチ&デストロイ。 
持てる想像力をフルに活用して、バックタイトルから中身を予測する。 
「これはっ」と思ったブツを引っ張り出し、パッケージを凝視。 
そこに含まれる全ての情報をスキャンして、脳に転送。 
なおも睨み付け、テープの映像を逆念写の要領で読みとらんばかりに集中。 
まさに無の境地。おもむろに、別の棚へ移動して、同じ事を繰り返す。 
一瞬我に返ると、棚の隙間から、反対側に立つ男たちの目が見えた。 
これ以上はないくらい血走った目で一点を睨み付けている。瞬きひとつしない。 
一瞬そのうちの一人と目があった。ちょっと引いた。 
自分もこんな目をしているのかと思うと、軽い自己嫌悪に陥った。 
親に合わす顔がない。そんな気がした。 
しかしそんな思いも、溜まりに溜まったパトスの前では無に等しい。 
約1分で立ち直ったオレは、サーチ&デストロイを再開、反対側の棚へ回り込もうとした。 
が、オレが見ていたのは壁際の棚だった。 

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