遠ざかる

191 : ◆IB5QfV6tbg :2006/07/23(日) 00:42:39 ID:nP6zt4oK0
高校生の時の話。 
ちょうど今と同じ時期。 
受験生だった。 

夜、机のライトだけつけて勉強してた。 
珍しくはかどっていて、ひたすら数学の問題を解いていた。 
そしてそのままその章の最後の問題まで終えた。 

だいぶ時間経ったろうな~と壁掛け時計を見た。 
2時20分だった。 
おお、てことは3時間近く集中してたのか、やるなあ俺と思っていたら 

時計の長針が、つつつっと動いた。 
えっ? 
壁掛け時計は2時30分になった。 
左側にあるベッドに置いてある目覚まし時計を見ると、2時20分過ぎ。 
時計壊れたのか?気持ち悪いなあ、もう寝るか・・・と思ってたら 
窓ガラスにこん、と何かが当たった。 

びびりな俺はビクッとしたが、しばらく待っても何もなかったので 
そーっとカーテンをめくって、窓の外を見た。 
俺の部屋は2階で、下は道路。誰もいない。 
ほっとした俺はもう少しめくって、きょろきょろしてみた。 
誰かこっち歩いてきてる。 

・・・?最初はその違和感がわからなかった。 
わかった瞬間、ざあっと鳥肌が立った。 
その誰かはこちらを向いてるけど、遠ざかってる。 
後ろ向きで歩いてるのか?よく見えない。 
こちらを向いたまま、姿が小さくなってく。 
・・・とっさにテレビつけて、ベッドに入ってたらうまくそのまま 
眠ってしまった。 

翌日、クラスの連絡網が回った。 
クラスメイトの通夜と葬式の連絡だった。 
夜中にコンビニに行って、帰りに交通事故で亡くなったそうだ。 
俺はそいつとは仲良くも悪くもない。 
その晩俺が目にした奇妙なことも、関係ないと思う。 
でもそいつの亡くなった頃の時間は、聞かなかった。聞きたくなかった。

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