夕暮れの放送

88 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :02/09/19 00:42 
小学校低学年、私は鍵っ子だった。
鍵をなくした冬の日、玄関先で親の帰りを待っていた。
私は電車を乗り継いで離れた私立に通っており、近所に友達もいなかった。
冬の夕暮れは早い。凍える私の耳に、「良い子は早くおうちに帰りましょう」
の放送と歌が、寂しげに聞こえてくる。これがあの世に逝く音楽だと思った。
怖くて涙が出た。深夜に親に発見された私は、高熱を出して寝込んだ。

しかし、その歌を聴いたのは、後にも先にも、そのときだけ。
初めて聞く放送だったし、その翌日は流れなかった。
あれは一体なんだったんだろう。ちょっと不思議。 

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