トンネル - 島田秀平

心霊スポットって全国にありますけど、
トンネルが心霊スポットっていうのは意外とよくありますよね。

それで僕が知っているところで、トンネルの名前は言えないですけど…
静岡にあるトンネルがすごくヤバイって言われているんです。

そこへ肝試しに行く人も結構いるんですけど、一個ルールがあるんです。
【車で行ってもいいけど、歩いてそのトンネルを全部出てしまうと呪われる。よくない事が起こる。】
というルールなんです。

そこへ肝試しに行った若者四人がいたらしいんですね。
男の子三人、女の子一人で車で行って、
トンネルの入り口に車を停めて、「じゃあ歩いていこうぜ」って四人で中に入ったんです。

そしたらトンネルの中は滴り落ちる水滴でシミが出来て、
なんだか顔のようにも見える。

「こええなあ…」なんて言いながらも歩いていたら、
女の子一人がブルブル震えだしたんですって。

女の子「本当やばい…本当やばい…」
男の子「なんだよせっかく来たんだから行こうぜ」
女の子を引きずるようにして男の子達は進んでいくわけですよね。
でも、進むたびに女の子は「やばい」って言うんです。

それでトンネルの真ん中あたりに来た時、
いよいよ女の子が「もう無理!」ってしゃがみこんじゃったんです。

男の子「なんだよせっかく来たんだから行こうぜ」
女の子「もう無理!絶対無理!」

じゃあしょうがないから、男三人でじゃんけんしようって話になったんです。
勝った二人だけが奥まで行く、一人は女の子と一緒に待ってようと。

それで勝った二人の男の子が、「おまえらはここで待ってろよ」って言って、
奥まで歩いていったんです。
男の子二人はどんどん歩いていって、いよいよトンネルは終わりなんですよ。

「出てみるか?」と二人は声をかけあって、
二人は同時にトンネルの外に出たんです。

「ん?何もないよな?」
「うん。別に変わったことないわ。帰るか。」
結局何もなくて、男の子二人は引き返すんですよね。

それで歩いて行って、真ん中あたりに待ってた二人がいるから、
「おーい!何もなかったよ」って声をかけたんです。

そしたらその瞬間…
待ってた二人が(うああああああ)って悲鳴あげて逃げていくんですって。
すごい勢いで。

声をかけた男の子達は「なんだよ。待てよ」って追いかける。
でも二人はどんどん逃げてく。
それで、走っておいかけるんだけど、全然追いつかないんですって。

それで逃げていった二人は、とうとう外に出て車に乗っちゃうんです。
追いかけてる二人は置いていかれちゃうと困るから、
必死に走って車のところまで来て、車に乗り込んだんです。

二人が乗り込んだ瞬間…車が急発進で走りだす。

「おいふざけんなよ!こんなとこ置いていこうとして!」
二人が怒って言うと、
女の子が泣きながら言うんです。
『だって行きは二人だったのに、帰りは三人で帰ってきたんだもの…』
って。

それであまりに怖いから、急いで車で下まで降りていって、
ガソリンスタンドが見えたから、そこに入ることにしたんです。

「もうマジで怖いから、あそこに入ってなにか飲み物でも飲もうぜ?」

それで四人はガソリンスタンドに入って、
「すみません…ちょっと休憩させて下さい」って店員さんに言うと、
店員さんが「うあああ」って声をあげたっていうんです。

四人「どうしたんですか…?」
店員「いや…後ろのガラスに、泥かわからないですけど、手形がベタベタベタってたくさんついてるんです…」

見ると、店員さんの言うとおり後ろのガラスに手形がいっぱいついてるんです。

四人「うああ…なんだこれ…すみませんこれ、よかったら拭いてもらえないですか?」
四人は店員さんが拭いてくれるのをブルブル震えながら待ってたんです。

店員「すみません。どうしても一個だけ手形が消えないんです…」
四人「え…お願いします怖いから、どうにか消してくれませんか?」

店員「うーん…やってみまたんですけど、どうしても一個だけ消えないです。」

それで見てみると、手形が一個だけ内側についてたんです。
明らかに一人はもう車に乗り込んできてたんですね。

それで出された飲み物を見たら、飲み物は当たり前のよう五人分あったそうです。

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