再開発の裏で - 大島てる

これは埼玉県内にあった一軒家での出来事です。
ある駅の近くで火事がありました。
そして人が亡くなってしまったと。
そういった情報が私のもとに寄せられました。

駅の近くで火事があったと聴きましたが、そんなとこに家はあったかなと不思議に思いました。
現地調査のために私がその駅まで行って少し歩いたところでやっと思い出しました。
そういえばこのあたりはもう殆ど家は残っていないんですが一軒だけ家があったなぁと。

どうして他の家がなくなって更地になっていたかと言いますとその地区全体が再開発の対象エリアになっていたからです。
たった一軒残っていた家で火事が起きて人が亡くなってしまったわけです。
周りにはもう誰も住んでいないわけですから、誰か助けてと言っても聞こえませんし。
炎が上がっていてもそれに気づいて通報してくれる人もいなさそうですから、ちょっとした火事でなく大火事になってしまって住人が亡くなってしまったという結末は仕方がないような気もします。

その後その燃えてしまった一軒家は取り壊されて今では家の跡形がないことはもちろん、道路や木なども何処に何があったのか分からないような、それくらい様変わりをしてしまいました。
再開発は最後まで残っていた一軒が無くなったことで一気に進行したわけです。
このように再開発の対象エリアで最後の一軒として立ち退きに抵抗していた一軒で火事が起きたケースはチラホラと耳にします。

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