ファン - 水道橋博士

人志松本のゾッとする話より

みなさんお笑い芸人ですから、ファンとか追っかけとかいると思うんですけど、
その中にも、ちょっと痛い子っていますよね?まあ、ストーカー化するみたいな…

でも、若手のストーカーっていうのは、セフレとの別れ話がうまくいかなくて、
そういうストーカーみたいになってたりする事もあったりして…

まあ痛い子の判別の1つとしては、自宅の住所をファンの子が知ってるっていうのは1つありますよね。
まあ、その子も熱烈なファンだったんですけど、自宅に手紙が届くようになったんです。
手紙が届くって事は、自宅の住所がわかってるんだなと。

で、ポストに落書きとかをするんですよ。
となると、もう自宅の住所がわかってるだけではなく、自宅まで来ているんだなと。
あとは、車に口紅でスキって書いてあったり…

で、話しを少し戻すんですけど、セフレかどうかっていう事で言うと、
その子のアダ名は「ミザリー」なんですよ。映画の「ミザリー」をご覧になった事があるかわからないですけど…
その方に似ていて…おばさんなんですよ。
ですから、僕の中の線引きでは、そういう対象だったり関係でない事は明らかなんです。

それである日、仕事が終わって家に帰って。
当時、僕は後輩芸人と一緒に住んでたんですけど、
その後輩芸人が、「今日は鍋が出来ております。」って言うんです。

「鍋?」って聞くと、
「婚約者の方が来られて、鍋を作られて帰られましたよ」と…


「え?お前婚約者って…?」
「いや、ええ、かなり歳のいった方だったんですが…」

ミザリーが婚約者と偽って鍋料理を作りに来てたんです。

おまえは何をしてくれているんだと…僕はキム兄と違いますからね。
そういう守備範囲を持ちあわせてはいないですから…

それで、その彼女から頻繁に手紙が来るようになったんです。
そんなある日「今度会わせたい方がいるので、ライブにお連れします。」って手紙が届いたんです。
怖いなあと思いつつ…

そのライブはうちの事務所なんで、僕がトリで出ていくんですよ。
頭の片隅に、そんな手紙もあったなあ…と思いつつも、出ていった舞台で客席を見たら、うちの父親がいたんですよ。

岡山県倉敷市出身で、俺のライブなんか一度も見たことのない父親が突然客席に居て、
その親父が仲良くしゃべってるのが、ミザリーだったんです。
親父の隣に居るんですよ。それで、なんか見てると親父はメロメロなんですよ…

舞台から帰ってきて楽屋にいたら、親父がニコニコしながら来て、
「やっと結婚してくれる事になったか」と…

そしてまあこの後の話しがあって…ちょっとこれは面白い。ここまですごい人がいるのかと…

次のライブは、お客さんに何の説明もなく、
「実は僕、今ストーカー被害にあっているんです」と。
今まであった話しをボードに書いて説明したんです。

みんなゾワッっとしている中で、急にスポットライトを当てて、
「今そこに居ます!」って、その子を指さしたんです。

そしたらその子がそこで、「うぁぎゃぁぁぁぁぁ」って暴れだしたんです。
そこに羊たちの沈黙のテーマミュージックを流したんですよ。

それで連行されていくミザリー…
あの、今もまだそのミザリーは若手芸人のライブに行っているそうです…




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