幼稚園の吉田くん - 中山功太
僕の人生で最大の謎なんですけど、幼稚園の時に吉田くんという同級生が居たんです。
吉田くんは目がくりっと大きくて、少し出っ歯で、でもいつも朗らかに笑っているような良い子で、僕すごく仲が良かったんです。
幼稚園の中で粘土を使って作品を作る時間があって、ある日吉田くんがウンコを作ったんです。
子供のときってそういうのめちゃくちゃ面白がるじゃないですか。
それで僕もすごく笑って、吉田くんもすごく笑ったんです。
それで吉田くんの目玉が笑った瞬間にぴょんと飛び出したんです。
これ嘘じゃないですよ。
それでその飛び出し方というのも中間が細くて目玉がぼんとあるような、昔のマンガにあるような感じなんです。
これは夢とかじゃなくて本当の話なんです。
「吉田くん、今目玉飛び出したよね?」
そしたら吉田くんもウン、ウン、という感じで、あんまり触れないでくれというようなムードだったんです。
まるで照れるかのような。
それで帰りにも同じように触れたんですけど、全く同じように照れたような触れないでくれという雰囲気なんです。
次の日幼稚園に行ったら吉田くん、幼稚園を休んでいるんですよ。
それで僕が「先生、吉田くんは?」と聞いたんです。
そしたら先生が「吉田くん?誰それ?」と言うんです。
それで僕、友達にも「吉田くん今日休みかな?」と聞いて回ったんです。
そしたら皆「吉田くんって誰?」って聞くんです。
「僕の席の隣の子やん。
吉田くんのことやん」
「吉田くんなんて知らん」って皆が言うんです。
それで家に帰ってお母さんにも「なぁ吉田くんって知ってるやんなぁ」って聞いたんですけど、
お母さんも「吉田くんって誰?」って聞くんです。
目玉が飛び出した次の日から、吉田くんの存在が消えたんです。
幼少期のことなので自分が作り出した妄想なのかなとも思ったんですけど、当時考えたことはロボットなのかと思いました。
宮迫「友達って他におったの?」
居ましたよ、吉田くんの他にも。
松本「吉田くんも含め三人で遊んだことあるの?写真とかは?」
そうなんですよ、写真があるはずなんですけど、写真自体も無いんです。