京都で - 桂きん枝

もうずっと前の話なんですけど、京都花月があった時分に先輩と一緒に京都の祇園町に遊びに行ったら、そこのお姉ちゃんと意気投合しまして。
「泊まりにおいでよ」とか言うんですよ。

それで僕と友達二人、そのクラブのお姉さんも二人で四人でお泊りしたんです。
今度は大阪おいでよとか言ってまた四人で泊まったり大阪を案内したりとかしたんですね。

それから一ヶ月か二ヶ月くらいしてから警察官が楽屋に来て、「この女性知ってますか」って私に写真を見せるんです。
写真を見ると、一緒に泊まったりしていた女性だったんです。

「確かに知っています」と警察に言うと、

「こちら来たりしましたか」

「いや、それからはもうあまり行き来はしていないです。
 この人、どないかしたんですか?」

「実はお店でお客さんにお金を借りていて、それが返せなくなって殺してしまったんです。
 貸してくれた男の人をね」

それで警察はよく知っているもので、
「あなた達その時期にこの人の部屋に行ってるでしょ」
と聞きはるんです。

「はい、行きました」

「ちょうどその時期にね、押し入れの上にその方の死体を隠されていたんですよ」

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