十二時丁度にトンネルへ - 島田秀平

この話は知り合いのAくんから聞いた話です。
Aくんというのは九州の大学に通う学生なんですが、
AくんはBくん、Cくんという仲の良い友達二人といつも三人でつるんで遊んでいたんです。
それでその中でもノリがいいBくんがある日二人に言ったそうなんです。

B「なぁ、この辺にさ、幽霊の出るトンネルがあるんだって。
  なんでも十二時ピッタリにそのトンネルに入ると出るらしいだよね」

元々そういうことに興味があったAくんはそのことにも興味津々で

A「え、そんなとこあんの?
  行ってみようよ!」

とすぐに話に食いついたそうです。
ただCくんというのは霊感が強い子だったらしくて、

C「いや俺は行きたくないなそういうとこ。
  絶対危ないからさ」

と頑なに拒んだそうです。
でもAくんとBくんは行きたい気持ちになっていたので

B「何ビビってんだよ、怖いのかよ」

とCくんのことをからかったそうです。
そんなことがあったんでしぶしぶCくんも付き合って三人で行ってみようということになったんです。

そしてその当日。
トンネルの近くまで車で行ったんです。

十一時五十九分。
十二時ちょうどに入ろうと、三人はトンネルの前に並んだんです。
そこでBくんが十二時のカウントダウンを始めたんです。

B「行くぞ。
  10...9...8...」

ここで霊感の強いCくんが言ったんです。

C「いやさ、やっぱ気持ち悪いからやめない?」

A「ここまで来て何言ってんだよ、行くぞ」

Aくんもカウントダウンをやめないんです。

A「5...4...3...

  2!

  1!!」

そして三人が一斉にトンネルに入ったんです。

A「ねぇ、何か変わったことある?
  なんか感じる?」

そんなことを言いながら三人はどんどん奥へと進んでいきます。
Bくんは何も感じなかったんで「何も感じないよな」と言っている。
Aくんも何も感じなかったので「そうだな」と言っている。
すると霊感の強いCくんが言うんですって。

C「何か居る・・・何か居るよ・・・」

A「お前そういうこと言うのやめろよ」

そう言った瞬間Cくんが

C「うわぁああぁああ!」

奥を見てすごい形相で叫び声を上げたんです。

C「ピエロだ!
  ピエロが来る!」

B「お前何言ってんだよ」

でもCくんはいきなり振り返ると今来たトンネルの方に駆け出していくんです。
AくんとBくんは何もわからないんですけど、そのCくんの豹変ぶりに驚いてCくんの後を追って逃げ出したそうです。

車に着くとCくんがBくんの胸ぐらをつかんで

C「早く、早く出せよ!
  ピエロが来る!」

Cくんはとにかくピエロピエロと叫ぶんだそうです。
Bくんは車のエンジンを掛けて、Aくんも助手席に座って、Cくんは後ろの座席に座って車を出発させたんです。

B「おい、何だったよ」

社内は何だかすごい空気なんです。
何か只ならぬ悪さをしてしまった、そんな気持ちになって三人は社内で誰も口を開かなかったそうです。

シーンとしている中、しばらく走るとコンビニが見えたんでBくんはそこで車を停めたんです。
そして一息ついてようやく口を開いたんです。
Aくんと一緒に後部座席にいるCくんを振り返りながら

B「おい、さっきの何だったんだよ。
  さっきのピエロって何だったんだよ」

そう言いながら二人が振り返った時、後部座席でCくんは死んでいたそうです。

Cくんは亡くなってしまったのでこのピエロというのは一体何だったのか、今では知る由はありませんが、
皆さんも心霊スポットに行くときはくれぐれも気をつけてくださいね。

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