ヤバイの乗せた!

559 名前:kebi 投稿日:02/05/02 19:30
その日夜、友人(ビビリ)は和歌山の山中を、一人で車で家に帰ってました。 
そして、いくつかのカーブの後、突然ライトの光に浮かび上がって来たのは、 
百姓姿の婆さん!! うっぎゃぁぁあああ!!! 
しかし背中には農作業用のクワを背負ってるし、足もあり、ちゃんとヨタヨタ歩いとる。 
夜中の十時になろうというのに、一人で道路脇を歩く婆さんに、友人は怖いというよりは、 
心配になり、あろうことか車をその婆さんの隣りによせ、声を掛けた。 
「大丈夫すか?今から向こうの町まで帰るんすけど、送りましょうか?」 
「・・・・・」 
婆さんは無言のまま、手を振って、いらんいらん、とジェスチャー。 
しかし故郷の祖母を思い出した友人は、なにか感情が湧いたらしく、 
婆さんの行き先が山向こうの町であることを確認すると、 
ついでだから、と婆さんを説得して隣りに乗せ、山道をすいすいと進んでいった。 
山道も終わりにさしかかり、その内に町が見えてきた。 
「もうすぐ着きますよ~」 
と、隣りに婆さんに目をやった瞬間、ひぃ! と友人は声をあげそうになった。 

足が無かった。さっきはあったのに。歩いてたのに。やばい、やばい。 

友人はスピードを上げ、町に急いだ。 
その時、婆さんがちらっとこちらを見た気がした。友人の背中が震え上がった。 
「やべ~。なんでこんなのが乗ってんだ? と、とりつかれてしまうのかっ?」 
やがて町の明かりが近づき、友人は町の入り口の手前に、車を止めた。 
とてもじゃないが、家はどこですか?近くまで車で送ります、などとは言えなかった。 
「つつつ着きました!!」 
「・・・・」 
婆さんはドアを開けると、正座していた足を降ろし、丁寧に礼を言うとひょこひょこ歩いて帰って行きました。

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