見張り番

647 名前:bigslope 投稿日:02/05/07 10:30
知人に聞いた話 
何年か前に北海道で大きな地震があって 
その時発生した高波によりある島が大きな被害にあった 
その当時知人が乗ってた輸送艦が函館に停泊していたため急遽 
災害派遣に行ったそうです、最初は陸上の救援活動をしていたそうですが 
「波にさらわれたらしい行方不明者が多数いるので探して欲しい」 
と命令を受け 探しに行ったそうです、捜索の結果十数名の遺体が発見され 
港に戻ったところ「救助活動で混雑しているため1晩遺体を預かっていて欲しい」 
と言われたそうです、その艦は輸送艦なんで安置場所は艦底にある車両格納庫に 
決まり、そこへビニールシートをしいて遺体を毛布で包んで1晩安置したそうです 
被害者の冥福を祈るため線香をあげるのですが、火を絶やしてはいけないという事で 
2時間交代で見張り番を立てる事に、その時知人は下っ端だったため2~4時の 
見張りに立つ事になった(同情) 

そして夜中の2時 
艦内は灯火管制により赤灯だけが点灯しているため 
周囲が薄暗く赤い、ちょうどお化け屋敷のような雰囲気です 
そんな中がらんとした格納庫に生臭くなった遺体と2時間… 
本人曰く「怖くて遺体に背を向けっぱなしだった」 
4時になり次直と交代しようと格納庫を出た、 
格納庫から次直が寝ている居住区に行く為には階段(ラッタル)を上らないと 
いけなかった、その時知人はある事を思い出した それはラッタルを上がった 
先に大きな鏡(全身が写るサイズ)がある事でした 
薄暗い中ゆっくりと音を立てず上がりながら「鏡を見ないようにしよう」 
と考えた そして遂に上り切り、鏡を通り過ぎようとした瞬間 
なぜかその知人は鏡を横目で一瞬見てしまった そこには 


薄暗く赤い明かりに照らし出された自分の姿 
そしてたった今上がってきたラッタルの最上部 
だけだったそうです、 
そして次直と交代し 明日に備えて眠ろうと思い着ていた作業服を脱いで 
なにげに背中の部分を見ると 
うっすらと濡れた手形が付いていたそうです。

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